メバル科カサゴ属の海水魚。その全身のあばた模様から「瘡魚」とも表記するほか、地域によって多くの呼び名がある。全国の浅い岩礁域に生息する。春先から初春にかけてが旬。刺身や煮付け、唐揚げなどにする。など、手元の歳時記には載っていない。

メバル科カサゴ属の海水魚。その全身のあばた模様から「瘡魚」とも表記するほか、地域によって多くの呼び名がある。全国の浅い岩礁域に生息する。春先から初春にかけてが旬。刺身や煮付け、唐揚げなどにする。など、手元の歳時記には載っていない。

「秋深し」は、秋が深まり、朝晩の冷え込みが増して、冬の訪れを予感させる時期の寂寥感(せきりょうかん)や静けさを表す言葉。実りの秋が終わる名残惜しさと冬へ向かう静寂とが入り混じる。
掲句は、手紙などに「心より」と記したとき、ことさら秋の深まりを感じたとの句意。「心より」「衷心より」などは、真実な気持ちや深い感謝、お詫び、祈りなどを伝えるため、改まった手紙や弔辞、フォーマルな挨拶などでよく用いられる言葉。しかし、その表現が形式化して、実意が伴わないことの方が多い。否応なく形式と本音を使い分けて生きていかなければならない人という生き物の宿命だろうか。形式化した言葉の虚しさと、その中で生きていく人の哀しさを、作者は感じ取っている。『俳句』2026年5月号。
「マロニエ」は、バルカン半島、トルコ等原産のトチノキ科の落葉高木。別名「セイヨウトチノキ」。原産地では標高の高い山岳地帯の森林に自生するほか、ヨーロッパで街路樹・公園樹として親しまれている。日本には、明治時代の中頃に、フランスから新宿御苑に種子が持ち込まれ、その後街路樹などとして植えられている。初夏の頃、白やピンクの円錐状の花を直立して咲かせる。中心部に赤やピンク色の斑紋がはっきり入るため、栃の花よりも華やかな印象がある。

楪(ゆずりは)は、トウダイグサ科ユズリハ属の常緑高木。東北南部以南の日本各地の山地に自生するほか、庭木などとして植えられる。春に新しい葉が生長すると、古い葉が譲るように落ちることからこの名がある。子孫繁栄の縁起物として、正月の門松や鏡餅の飾りとして使われる。2~4月に新芽が上向きに成長し、やがて新しい葉を広げる。「木の芽」の傍題。単に「楪」といえば新年の季語。

芥火を踏んで潰して半夏生 直人
「半夏生」は夏至から11日目で、7月2日頃。田植えを終える節目の日。ドクダミ科の草「半夏生」や、漢方の原料「カラスビシャク(半夏)」に由来するとされる。地域によっては、この時期に農作物の豊作を願う風習がある。
掲句は「半夏生」の頃、芥火(あくたび)を踏み潰していると詠む。芥火は、ゴミや塵を燃やす火のことで、浜辺に流れついた藻芥(もあくた)を集めて焼いている場面を想像してもいいが、海辺の光景に限ることはないだろう。葡萄栽培の農家であれば、蔓の切れ端などを焚いている場面。いずれにしても、火を踏み消そうとする日常の無造作な動作が思い浮かぶ。折から「半夏生」。火を踏み消すといった日常の中に、人々の豊作への願いや自然への畏怖の思いを汲み取りたい。平成22年作。『風の空』以後。