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俳句の庭

  • 廣瀬直人の俳句(60)

    8月 17th, 2026

    病人に逢はずに帰る盆の僧 直人

    「盆」は旧暦7月13日から16日にかけて行われる先祖供養の行事。13日夕方先祖を迎えてお供え物をし、16日早朝に供物を川に流し先祖を送る。新暦で行う地方もある。「盆の僧」は「盆」の時期に檀家を回って棚経を読むなど、施餓鬼や仏事を行う僧侶のこと。

    掲句は、家を訪れた「盆の僧」を詠んで、檀家と僧侶の関わりを浮かび上がらせた作品。家で看取っている「病人」は老父母だろうか、襖を隔てた別の間に寝かされているのだ。僧侶と「病人」とは、普段から親しく話しを交わす間柄なのだが、その日は逢わずに帰って行ったという。「病人」に対する僧侶の心遣いとも多忙さ故とも読めるが、事細かな説明をせずに、読者の想像に委ねた。省略が作品の味わいを深めている。昭和57年作。『朝の川』所収。

  • 噴水や戦後の男指やさし 寺田京子

    8月 16th, 2026

    「噴水」は機械的に水を噴き上げ、そのさまざまな形を楽しむ仕掛け。空中に飛び散る水しぶきが周囲に涼しさを与える。公園などに多く見られる。

    作者は北海道札幌市出身の俳人で、1976年6月に逝去しているので最近作というのではないが、総合誌で目にしたので取り上げてみた。今もなお「戦後」は続いているので、作者の表現の意図は現代の読者にも十分伝わると思う。都市部の公園などで見かける「噴水」も指が優しくなった男たちも、戦後の景物である。事務や営業に従事するホワイトカラーの男性を思い浮かべたい。公園に憩う彼らの白くすっきりした指は、最早銃を手にすることもない。平和な光景だが、「やさし」には物足りなさも感じられる。「戦後」という時代に向けた作者の複雑な思いが覗いている。『俳壇』2026年9月号。

  • 山毛欅の実

    8月 16th, 2026

    「山毛欅(ぶな)」はブナ科の落葉高木。「橅」とも表記する。秋に生る実は、表面に柔らかいトゲがついた殻に包まれ、晩秋の頃殻が割れて種が地面に落ちて、クマ、シカ、イノシシ、リス、ネズミ、野鳥などの餌になる。なお、歳時記に掲載されていないが、「木の実」や「団栗」の傍題として詠むことはできるだろう。

    下の写真は、フォンテーヌ・ブローの森で撮影したヨーロッパブナの実。日本のものより一回り大きい。

  • チーゼルの花

    8月 16th, 2026

    ヨーロッパ・北アフリカ原産のスイカズラ科の二年草。和名「羅紗掻草(らしゃかきぐさ)」。明治時代に、毛織物の起毛加工の道具として日本に導入された。トゲトゲとした楕円形の果穂が特徴。7〜9月頃に花穂の周りに薄紫色の小花が帯状に咲く。観賞用に栽培されるほか、切花やドライフラワーとしても用いられる。なお、歳時記には掲載されていない。

  • ビロードモウズイカ

    8月 15th, 2026

    ヨーロッパ、北アフリカ等原産のゴマノハグサ科の二年草。漢字表記では「天鵞絨毛蕊花」。「庭煙草(にわたばこ)」の別名もある。明治時代初期に観賞用や薬用として日本に持ち込まれ、現在は河原、空き地、線路脇などに野性化している。6~9月に、大きな葉のロゼットから伸長した長い花穂に黄色い小花を密集して咲かせる。ヨーロッパでは伝統的な薬草として知られ、花や葉を乾燥させてハーブティーに用いる。

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