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俳句の庭

  • 斑猫(はんみょう)

    9月 28th, 2026

    甲虫目ハンミョウ科に分類される肉食性の昆虫。人が山道などを歩いていると、その先へ先へと飛んでは止まり、まるで道を案内してくれているかのように見える習性から、「道おしへ」ともいう。里山や寺院の境内など、人の手が入り過ぎていない、適度に開けた土の道などで見かけることが多い。赤、青、緑のメタリックな輝き(構造色)を持ち、白い斑紋が散りばめられている。英名で Tiger Beetle と呼ばれる通り、アリ、クモ、イモムシなどを捕えて食べる獰猛なハンター。

    下の写真は、野辺山高原で見かけたヒメツチハンミョウ。

  • 廣瀬直人の俳句(76)

    9月 28th, 2026

    極寒の臼をころがす日向の音 直人

    「極寒」は冬の厳しい寒さのこと。「厳寒」「厳冬」「酷寒」「寒きびし」などともいう。1月下旬から2月上旬にかけて寒さが極まり、空気や地面、水道などが凍りつく。

    掲句は、日向に臼を転がす音に「極寒」を感じ取っての作品。重い臼を無理に持ち上げず、板などを使って転がして運ぶのは農家の人たちの生活の知恵。臼を転がして場所を移動するのは、餅つきの前後の作業だろうか。餅つきは年末が恒例だが、小正月や旧正月にも行われる。寒さが極まる頃だが、一歩ずつ春が近づいてくる明るい気分がどこかに感じられるのも、この季節の特徴。作者の聴覚の確かさを思わせる一句。昭和38年作。『帰路』所収。

  • 栗羊羹(くりようかん)

    9月 22nd, 2026

    秋の味覚である新栗や栗の実を、小豆餡や寒天と一緒に練り上げた和菓子。寒天で練り上げる練り栗羊羹と、小麦粉や片栗粉を混ぜて蒸し上げる栗蒸し羊羹がある。

  • 後の彼岸

    9月 22nd, 2026

    秋分の日(9月23日頃)を中日とし、前後3日を含めた7日間。単に「彼岸」といえば春分の日前後の春の彼岸を指し、その半年後に来る秋の彼岸が「後の彼岸」。先祖の供養をしたり、墓参りをしたり、おはぎを供えたりする。「秋彼岸」が「秋」という季節そのものを意識させるのに対し、「後の彼岸」は春の彼岸からの時の流れを意識させる言葉。「秋彼岸」の傍題。


  • 廣瀬直人の俳句(75)

    9月 22nd, 2026

    電柱の影が田に伸び冬旱 直人

    「冬旱(ふゆひでり)」は冬に雨や雪が降らず、晴天と乾燥が続くこと。単に「旱」といえば夏の季語だが、冬の日本の太平洋側などでは雨量が少なく、空気が乾燥して日照りが続くことが多い。大地が乾き、水不足や野菜の生育への影響が懸念されるような、寒々しく乾いた風景が想像される。

    掲句は、既に農事が終わった冬田に伸びる電柱の影を詠む。作者が日頃見かけている甲府盆地の光景かも知れないが、私は、一面冬田が広がる関東平野の風景を想像した。稲刈りが終わって真っ平らになった田がどこまでも広がり、空っ風が日夜吹き抜けている。田の真ん中を貫いている舗装路に沿って電線が延びていく、そんな光景だ。どこにでもある光景だが、「冬旱」という的確な下五により、句が呼び起こす風景に広がりが生まれた。昭和36年作。『帰路』所収。

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