芥火を踏んで潰して半夏生 直人
「半夏生」は夏至から11日目で、7月2日頃。田植えを終える節目の日。ドクダミ科の草「半夏生」や、漢方の原料「カラスビシャク(半夏)」に由来するとされる。地域によっては、この時期に農作物の豊作を願う風習がある。
掲句は「半夏生」の頃、芥火(あくたび)を踏み潰していると詠む。芥火は、ゴミや塵を燃やす火のことで、浜辺に流れついた藻芥(もあくた)を集めて焼いている場面を想像してもいいが、海辺の光景に限ることはないだろう。葡萄栽培の農家であれば、蔓の切れ端などを焚いている場面。いずれにしても、火を踏み消そうとする日常の無造作な動作が思い浮かぶ。折から「半夏生」。火を踏み消すといった日常の中に、人々の豊作への願いや自然への畏怖の思いを汲み取りたい。平成22年作。『風の空』以後。