「青嵐(あおあらし)」は青葉が茂るころに、それを揺らすように吹きわたる、やや強く爽やかな風。晴れた日に新緑の木々をざわざわと力強く揺らす、生命力に満ちた爽快な風であり、台風や悪天候の暴風ではない。
掲句は、青嵐の中で、「リア王」の眉間の皺を思い浮かべての作品。「リア王」は、周知のようにシェイクスピアが遺した同名の悲劇の主人公。国王退位後、長女と次女に裏切られて冷遇され、荒野をさまよう「リア王」を嵐が包んでいる。その眉間の皺は、己の過ちを悟ったことによるものでもあり、長女や次女の理不尽に対する怒りでもあるだろう。この句の青嵐には、有無を言わさぬ非情さが感じられる。『俳句四季』2026年9月号。