稲穂が垂れ始め、稲刈りを控えた時期に、田んぼの水口を塞いで畦(あぜ)を切り、不要になった田の水を外へ排出すること、又はその流れる水のこと。収穫に備えて田んぼを乾かすための農作業のひとつ。田植え以降4カ月もの間、稲を育てるために田に蓄えられていた命の水が、役目を終えて水路へと勢いよく流れ出す。「落し水」は、一般的に稲刈りの約7日〜10日前(出穂後30日前後)が目安とされる。

稲穂が垂れ始め、稲刈りを控えた時期に、田んぼの水口を塞いで畦(あぜ)を切り、不要になった田の水を外へ排出すること、又はその流れる水のこと。収穫に備えて田んぼを乾かすための農作業のひとつ。田植え以降4カ月もの間、稲を育てるために田に蓄えられていた命の水が、役目を終えて水路へと勢いよく流れ出す。「落し水」は、一般的に稲刈りの約7日〜10日前(出穂後30日前後)が目安とされる。

年深まりて青空に鳥の道 直人
「年深し」は12月も押し詰まり年が終わろうとする頃をいう。慌ただしさよりも、一年が終わりつつある時期の時の重みや静けさ、しみじみとした感慨を含む言葉。「年の暮」の傍題。
掲句は年が深まる頃の故郷にあって空を仰いでの作品。秋口の霖雨や台風の大雨が嘘のように、この頃は天気が安定し、日々晴れて青空が続く。空を横切っていく鳥たちを、ことさら渡り鳥と考える必要はないだろう。普段見慣れた留鳥の椋鳥でも鴉でもいいし、Ⅴ字をなして飛ぶ雁や鴨を想像してもいい。ともかく塒を発ち、塒へ帰って行く鳥たちが、朝な夕な作者の頭上を越えていく。日々繰り返されるそれらの鳥たちの営みとともに、作者の身辺も年が深まっていく。その地に定住土着している人の目が捉えた年末の独り心の風景であろう。昭和49年作。『日の鳥』所収。
ロワン川の川べりの町モレ・シュル・ロワンを訪れたのは旅の終盤。フォンテーヌブローの森の端に位置し、中世の面影を色濃く残す村である。印象派の画家アルフレッド・シスレーが晩年の約20年間を過ごした。
レンタカーを降りると、シスレーの胸像が迎えてくれた。次の写真のモニュメントの上部にシスレーのブロンズ像が見える。

村の入り口に残るサモワ門。中世に作られた防衛用の城門だ。かつては、強固な城壁が村を囲んでいたという。メインストリートの反対側には、同様にブルゴーニュ門が聳え立っていた。

木組みの家々が並ぶメインストリートを歩いてブルゴーニュ門を抜けると、そこにはロワン川の風景が広がっていた。次の写真の中央に映っているのは、ロワン川の石橋(Pont sur le Loing)。シスレーが何枚も風景画に残したスポットである。シスレーは、橋から見える水車小屋や家並み、川面に映る光の反射を、あらゆる角度から描いた。

シスレーは、生前、作品が思うように売れず、この村で貧困のうちに亡くなった。印象派の画家たちの中で、モネは徐々に抽象的な表現へ向かい、ルノワールは古典的な人物画へ回帰していったが、シスレーだけは生涯戸外の光と自然を描くという当初の印象派の理念を守り続けた。シスレーの絵に対する世評が高くなったのは、その死後のことである。
ロワン川の石橋から撮った一枚。左手には中世に建てられた水車小屋、右上の奥にはノートルダム教会の尖塔が覗いている。シスレーはこの教会をテーマにした連作も残しているという。

モレ・シュル・ロワンを訪れた後、私たちは近隣のグレ・シュル・ロワンに足を延ばした。同じロワン川沿いに佇む、フォンテーヌブローの森に隣接した中世からの村である。次の写真は、19世紀末に多くの芸術家や文学者が集まったホテル・シュヴィヨン。日本の洋画家黒田清輝も一時滞在していたという。黒田は、1888年に日本人画家として初めてこの村を訪れ、その自然に魅了されてこのアパルトメントに住んだ。黒田は、明るい陽光をキャンバスに捉える外光派の技術をこの村の自然の中で磨き上げ、この地で初期の傑作『読書』などが生まれた。

近くを流れるロワン川の川沿いでは、地元の人々がピクニックをしたり、半裸のまま静かに日光浴をしたりしていた。川浴びをしている女性の姿もあった。

火の粒のやうに師走の母がゐる 直人
「師走(しわす)」は陰暦12月の異称。師(僧侶・お坊さん)が、年末の仏事や法要で東西を忙しく走り回る月であることから転じたとされる。現代では、陽暦の12月(年末・年の瀬)の慌ただしさや季節感を表現する言葉として広く使われる。
掲句は、師走の母を「火の粒」に譬えた作品。当時作者は40代半ばの壮年期で、母堂もまだまだ動ける年頃だったのだろう。この比喩により、正月を前にしててきぱきと家の中を切り盛りする老母と、その姿を見守る作者の優しい眼差しが見えてくる。本格的な冬が訪れようとしている「師走」の季節感の中で、生き生きと立ち働く母の姿が浮かび上がる。昭和49年作。『日の鳥』所収。
アフリカ、アジアの熱帯・亜熱帯地域原産のシソ科の多年草又は低木。多くの園芸品種があり、日本への渡来時期は不詳。日照時間が短くなることで花芽をつける短日植物で、開花の最盛期は秋(9月〜11月頃)。小さなラッパのような形の筒状花(筒状の唇弁花)が、まっすぐ伸びた花茎に集まって咲く。日本の山野に自生するヤマハッカやアキチョウジは同属の植物。なお、歳時記には掲載されていない。
