モネが描いた数多くの睡蓮の絵の中で、最晩年の大作がパリのオランジェリー美術館に展示されているので、パリ散策の日に訪れた。展示されているのは、同美術館の2つの楕円形展示室。高さ約2メートル、全長は合計約91メートルに及ぶ全8点の連作パネルである。モネ自身は、これらの連作パネルを「大装飾画(Les Grandes Décorations)」と呼んだという。制作されたのはモネが74歳から86歳(亡くなる直前)までの約12年間。当時白内障を患っていたモネが、記憶にある青や紫、あるいは目に見える強烈な赤やオレンジをキャンバスにぶつけたのだという。第一展示室のパネル(写真)は、画面全体が水面だけで満たされ、輪郭線がなくなり、絵の具が荒々しく、あるいは幾重にも重ねて塗られている。近くで見ると何が描かれているか分かり難い。モネが表現しようとしたのは、外界というよりも、自らの内面や光の本質そのものなのだろう。