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俳句の庭

  • 龍太の句を拾う(9)

    12月 12th, 2024

    草紅葉かの世の余技はなにならむ 龍太

    「雲母」平成2年11月号。

    同時発表句に                         鯊ともに釣りし笑顔のいくたびも 龍太              があり、前書きが付されていないので詳細は不明だが、何度か海釣り・川釣りをともにした知友の逝去を悼んだ作品ということが分かる。足元の草紅葉を眺めながら、先に逝ってしまった友のかの世での余技に思いを巡らせている。さらりとした平明な表現の中に、故人との生前の交誼を偲ぶ思いが感じられて味わい深い。

    句集に収められていないが、この時期の龍太の句として上乗の出来栄えと思われる。

  • 神無月

    12月 12th, 2024

    陰暦10月の異称。陽暦では11月頃。諸国の神々が出雲に集って男女の縁結びの相談がなされ、全国各地のお宮では神々が留守になるという俗信により名づけられた。草木は枯れ急ぎ、本格的な冬に向かって季節が一歩一歩進んでいく頃でもある。出雲では神在月、神有月という。

  • 冬の星

    12月 12th, 2024

    冬、特に風の吹き荒れる夜は大気中の水蒸気が少ないため、大気の透過率が高く、星がよく見える。「寒星」「荒星」「凍星」などともいう。オリオン座を形づくる大きな矩形の一角のペテルギウス、その左下の青いシリウス、それにこいぬ座のプロキオンを結ぶ線が冬の大三角形。夜空に星座の形をくっきりと仰ぐことができるのが冬の愉しみの一つ。

  • 龍太の句を拾う(8)

    12月 11th, 2024

    春の雪違約ひとつが棘のごと 龍太

    「雲母」平成元年6月号。

    「春の雪」は春になって降る雪のことで、かなり温暖になってから思いがけず降ることが多い。雪片は大きいが、積もることなく消えてゆく。掲句は、春の雪が降るその明るさの中で、ある人との約束を違えたことを、指などに刺さった棘のごとくに感じているとの句意。「違約」の一語が、読後いつまでも気にかかる。どんな約束を違えたのか。だが、作者からはその説明はない。気にかかること自体、作者の詩の術中にはまった証拠だ。いずれにしても、「春の雪」が、作者の気がかりをふんわりと明るく包むところがいい。

    このような型にはまらない作品が句集に収められていないのは、当時の龍太の美意識の網目から漏れたということだろう。

  • 黒鯛

    12月 11th, 2024

    スズキ目タイ科の海水魚。形はマダイに似るが体色は暗灰色で、幼魚には暗色の横帯がある。「黒鯛」は関東の呼び名で、関西では「ちぬ」と呼ぶ。大阪湾一帯の古名茅渟(ちぬ)の海にちなむもの。食味からいえば秋頃から産卵前の翌初春までの寒い時季が旬だが、春から夏にかけてよく釣れるので夏の季語になっている。夜釣りで獲る。日本各地の水深の浅い沿岸部に多く生息する。洗いや塩焼きにする。

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