龍太の句を拾う(9)

草紅葉かの世の余技はなにならむ 龍太

「雲母」平成2年11月号。

同時発表句に                         鯊ともに釣りし笑顔のいくたびも 龍太              があり、前書きが付されていないので詳細は不明だが、何度か海釣り・川釣りをともにした知友の逝去を悼んだ作品ということが分かる。足元の草紅葉を眺めながら、先に逝ってしまった友のかの世での余技に思いを巡らせている。さらりとした平明な表現の中に、故人との生前の交誼を偲ぶ思いが感じられて味わい深い。

句集に収められていないが、この時期の龍太の句として上乗の出来栄えと思われる。

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