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俳句の庭

  • 白菜の透きとほるまで読みふける 松下カロ

    3月 15th, 2026

    白菜は代表的な冬野菜。霜に当たると甘みが増すため、鍋料理や漬物など冬の料理に広く使われる。明治時代に中国から伝来した。

    掲句は白菜を入れた鍋や煮物が煮えるまで、傍らで本を読みふけっている情景を詠む。独りの食事の準備の手すきに、本を披いているのだろう。入れたときには真っ白だった白菜が、いつしか煮えて透きとおっていた。煮えるのを楽しみにしながらも、時間を忘れて本の世界に没入しているのだ。鍋料理などの湯気や匂いの中での、独りで過ごす時間の充実感が、そこには感じられる。『俳壇』2026年4月号。

  • リナリア

    3月 14th, 2026

    地中海沿岸原産のオオバコ科の一年草又は多年草。和名「姫金魚草」。 4、5月に、直立した茎の上部に総状花序をつくり、キンギョソウに似た小花を咲かせる。花色は紅、紅紫、濃紫、黄、白色など。主に6、7月頃咲く「金魚草」(夏季)より花期はやや早い。 

  • 春の苺

    3月 14th, 2026

     春に収穫・販売される栽培種の苺(いちご)のこと。ハウス栽培の普及により、現代では苺の出荷のピークは1~3月。甘くみずみずしい春の果実として食卓に浸透している。単に「苺」といえば、初夏に出回る露地物を指す。

  • 蝶浮かれ出る流感の高熱に 高野ムツオ

    3月 14th, 2026

    「蝶」は彩り鮮やかな翅をもつ昆虫。陽春の日差しの中を花の蜜を求めてひらひらと舞う。単に「蝶」といえば春の季語だが、春に見かけるのは紋白蝶や紋黄蝶などで、小さく可憐なイメージがある。

    掲句は、流感の高熱の最中に現れた蝶を詠む。流感はいわゆるインフルエンザのことで、現れた蝶は、高熱故に作者の脳裏に描き出された幻なのだ。この句から、私は日野草城の〈高熱の鶴青空に漂へり〉を思い浮かべた。草城の「鶴」もこの句の「蝶」も、高熱に浮かされた病中の心象であろう。作者は戸外の春の麗らかな日差しを想像しながら、病臥しているのだ。病苦も作句の契機にしてしまう作者の詩魂の逞しさを感じさせる一句。『俳壇』2026年4月号。

  • 春泥(しゅんでい)

    3月 13th, 2026

    春先の雪解けや雨でぬかるんだ土や泥のこと。「春の泥」ともいう。春は、凍解や雪解、雨などでできた泥水が乾ききらずに、泥濘(ぬかるみ)が至るところにみられる。歩きにくく厄介だが、暖かな春の訪れを実感する。

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