「師走(しわす)」は陰暦12月の異称で、ほぼ陽暦の1月に当たるが、他の陰暦の月の名称とは異なり、主として陽暦の12月に使う。年末の多忙な中で、クリスマスや忘年会などの行事が挟まり、たちまち過ぎ去っていく。今年(令和6年)の「師走満月」は12月15日。忙しさの合い間に、月を仰ぎながらこの一年を振り返ることもあるだろう。

「師走(しわす)」は陰暦12月の異称で、ほぼ陽暦の1月に当たるが、他の陰暦の月の名称とは異なり、主として陽暦の12月に使う。年末の多忙な中で、クリスマスや忘年会などの行事が挟まり、たちまち過ぎ去っていく。今年(令和6年)の「師走満月」は12月15日。忙しさの合い間に、月を仰ぎながらこの一年を振り返ることもあるだろう。

返り花いま夜の国と昼の国 龍太
「雲母」昭和63年1月号。
「返り花」は小春日和に誘われて、春に咲く草木が季節外れの花をつけること。サクラ、ツツジ、ヤマブキ、タンポポなどに見られる。作者は庭先の日だまりの返り花に目を留めながら、地球上に今「夜の国」と「昼の国」があることを思っている。地球の自転のため、多くの国では夜と昼が交互に訪れる。ただそれだけの内容だが、海外に足を運んだことのない龍太にも、国外への旅に憧れる思いがあったのだ。眼前のささやかな返り花と遠い異国へと広がる想念の間の落差が快い。
イシダイ科の硬骨魚。南日本の近海に生息する。鋭い歯をもち岩に付着したフジツボ、アワビなどの堅いものを餌にする。幼魚期は黒白の横縞だが、雄は次第に縞が消え銀色になる。磯釣りの対象。
下の写真はイシダイ科に属する石垣鯛。

欅、銀杏など、一般によく知られた落葉樹が、冬に葉を落として枯木になることを「名の木枯る」というが、それぞれの木の名前を冠して「欅枯る」「銀杏枯る」などともいう。錦木(にしきぎ)はニシキギ科の落葉低木。紅葉が見事で、赤い実が鮮やかなので秋の季語となっているが、冬には葉を落として枯木になる。ときには一夜の木枯しで一気に紅葉を落として枯木の姿になることがある。
下の写真は、枯れた錦木に付いて越冬する蟷螂の卵。

冬帝が五湖ことごとく瞰てゐたり 龍太
「雲母」平成4年3月号。句集『遅速』刊行後に作られた作品。
「冬帝(とうてい)」は寒さの厳しい冬を擬人化した言葉で、冬を司る神の意。「五湖」といえば知床五湖、三方五湖などもあるが、ここでは富士五湖を念頭に置きたい。富士の裾野に点在する河口湖や山中湖、本栖湖などを上空から冬帝が見ているとの句意。「瞰(み)る」には、「俯瞰」という言葉があるように、高い所から広い範囲を見下ろして眺める意味合いがある。一読、晴れわたった空のもと、深々と紺碧の水を湛えた五つの湖が見えてくる。われわれ読者も、冬帝とともに上空に漂っているような錯覚を覚える。老境に入ってからの作品だが、そのとらわれない自由な発想には驚かされる。