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俳句の庭

  • 盆の夜の振つて浮かせる古酒の澱(おり)

    10月 10th, 2023

    盆は7月13日から16日まで行われる先祖の魂まつり。陰暦で月遅れの盆を行っているところもある。正式には盂蘭盆会といい、俳句では秋の季語。休暇を取って展墓の帰省をする人も多い。盆の期間中は、日々の仕事から離れて、今は亡き肉親のことを思い起こしたり、故郷に帰って旧交を温めたりする。

    掲句は、父が遺した梅酒の瓶を手にしていてできた作品。父は前年の9月に急性心不全で亡くなり、生前作っていたかなりの量の梅酒や梅干しが遺された。その中には、新しいものも年数を経たものもあった。新盆の夜、その梅酒を飲みながら父を懐かしんだ。生前、人生万般について十分に語り合う機会がなかったことを、今でも残念に思っている。平成12年作。『河岸段丘』所収。

  • 箱釣

    10月 10th, 2023

    祭や縁日の露店で水槽に金魚などを泳がせ、紙の杓子ですくったり、餌なしの鉤で釣らせたりするもの。金魚すくい。子供に人気がある、夏に相応しい風物。

  • 草の絮(わた)

    10月 10th, 2023

    秋、カヤツリグサ科などの草の穂花がほおけて、綿状になったさま。「草の穂」の傍題。好天の日、白銀の草の絮が風に乗ってとぶさまは、秋らしい眺めだ。

  • 芭蕉の推敲(8)

    10月 9th, 2023

    五月雨をあつめて涼し最上川 芭蕉                              5月29日、大石田の髙野一栄亭における四吟歌仙の発句。「あつめて涼し」は、眼前を流れ下る最上川の涼感を賞して、一栄への挨拶の心を込めた。一栄の脇句は、                      岸にほたるをつなぐ舟杭 一栄                              一栄宅は最上川に臨んだ船宿で、裏座敷から最上川の景色が眺められたのだ。

    さみだれを集て早し最上川 芭蕉                            「涼し」を「早し」に推敲した改作で、『おくのほそ道』にはこの形で載っている。「閑かさや」の句と同様、『猿蓑』編纂の後『おくのほそ道』決定稿の染筆までの間になされた推敲だ。この推敲の背景には、実際に舟に乗って最上川を下った芭蕉の経験がある。直接経験の感動が、「早し」の一語に集約されている。たった一字の推敲が句の成否を決めた例。

  • 臭木の実仮寓の杜甫の見し色か 

    10月 9th, 2023

    臭木(くさぎ)は初秋の頃枝先に白い花を群がり咲かせた後、晩秋の頃直径6ミリほどの実が美しい藍色に熟す。

    掲句は、眼前の臭木の実から、仮寓中の杜甫に思いを馳せてできた作品。安史の乱前後、社会秩序が崩壊していく中で住まいを転々とした杜甫の目に、臭木の実のこの色合いはどんな風に映じるだろうと。杜甫は、中国の唐の時代を代表する詩人。こんな想像を逞しくすることも、俳句を作る愉しみの一つ。平成13年作。『河岸段丘』所収。

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