「霧」は秋の朝や夕方に地表付近が冷やされて発生する水蒸気の微粒子が空気中に漂う現象。
掲句には場面についての限定はないが、朝夕の冷え込みにより山野に立ち込める霧を思い浮かべたい。緩斜面のトレッキングコースでもいいかも知れない。「こめかみ」の辺りから霧が晴れてきたとは、虚実を含めた把握・表現。霧が晴れたときサッと頭上から差す日差しが、作者の内面まで明るく照らし出す。省略を極めているが、若々しい情感を持つ作品である。『俳壇』2026年1月号。
「霧」は秋の朝や夕方に地表付近が冷やされて発生する水蒸気の微粒子が空気中に漂う現象。
掲句には場面についての限定はないが、朝夕の冷え込みにより山野に立ち込める霧を思い浮かべたい。緩斜面のトレッキングコースでもいいかも知れない。「こめかみ」の辺りから霧が晴れてきたとは、虚実を含めた把握・表現。霧が晴れたときサッと頭上から差す日差しが、作者の内面まで明るく照らし出す。省略を極めているが、若々しい情感を持つ作品である。『俳壇』2026年1月号。
カタクチイワシ科の魚。別名「片口鰯」「背黒鰯」。体長15センチ程で、口が頭の先に突き出ていて、下あごよりも上あごが長いのが特徴。太平洋沿岸の暖地で水揚げされる。孵化後1年で成熟し、寿命は2年程度。稚魚はシラス干しやチリメンジャコ、イリコ、タタミイワシ、正月のゴマメなどとして食される。鰯(秋季)の一種だが、歳時記には鰯とは別に項目立てされている。

冬青(そよご)は、日本を含む東アジア原産のモチノキ科の常緑低木。雌雄異株。関東以西の山地に自生するほか、観賞用に植えられる。6~7月に白色の小花を咲かせた後、秋に実が赤く熟す。なお、歳時記には掲載されていない。

「厄払(やくばらい)」は節分の夜、厄年の人が社寺などに参詣して厄を落とすこと。神仏に祈って、厄年にありがちとされる厄難(やくなん)を払い落とす儀式を行う。櫛や褌をわざと落としたり、自分の干支を書いた護摩を神社で焚いてもらったりする。
掲句は、「厄払」の祭壇に供えられていた鬼柚子を詠んだ作品。境内などに生っている鬼柚子でもいい。ともかく、その鬼柚子を悪相と捉えたことが、この句のポイント。鬼柚子は獅子柚子ともいい、その大きな見た目や名前から、邪気を払う縁起物として古くから親しまれている。そのごつごつとした見た目は、禅僧のいかつい容貌を思わせ、いかにも邪気を払ってくれそうだ。『俳壇』2026年1月号。

女郎花(おみなえし)は秋の七草の一つだが、近くの医療センターの庭に、12月中旬になっても咲き残っていた。こんなところにも、近年の地球温暖化の影響が現れているようだ。