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俳句の庭

  • 芭蕉の推敲(9)

    10月 10th, 2023

    涼しさや海に入れたる最上川 芭蕉                             初案は、元禄2年6月14日、酒田の寺島彦助亭での歌仙の発句。最上川が自らを海に流し入れているとの句意。「涼しさ」は、主人への挨拶の心を込める。彦助亭の座敷は、最上川の河口に面していた。その大景を目にして涼しさを感じたというのは、その時の芭蕉の実感でもあっただろう。暑さの盛りの旅にあって、束の間味わう寛いだ気分も感じられる。

    暑き日を海に入れたり最上川 芭蕉                  前掲の句をこのように改作したのは、『おくのほそ道』の旅後だろう。「暑き日」には、暑い一日の意と暑い太陽の意があるが、この句は、最上川が暑い太陽を海に流し入れたとの意。旅中に見た水平線の彼方に没する夕日の光景が、芭蕉の脳裏に焼き付いていたのだ。自ずから夕暮時の涼味が感じられるが、涼味以上に大河と太陽とが相搏つような自然のダイナミズムが前面に出ている。大河が太陽を海に流し入れたとの斬新な把握には、今日の多くの詩人・俳人も脱帽せざるを得ないだろう。元禄人としてのものの見方の限界を突き破ったといえる。これも辺境への旅の成果だろうか。

  • 盆の夜の振つて浮かせる古酒の澱(おり)

    10月 10th, 2023

    盆は7月13日から16日まで行われる先祖の魂まつり。陰暦で月遅れの盆を行っているところもある。正式には盂蘭盆会といい、俳句では秋の季語。休暇を取って展墓の帰省をする人も多い。盆の期間中は、日々の仕事から離れて、今は亡き肉親のことを思い起こしたり、故郷に帰って旧交を温めたりする。

    掲句は、父が遺した梅酒の瓶を手にしていてできた作品。父は前年の9月に急性心不全で亡くなり、生前作っていたかなりの量の梅酒や梅干しが遺された。その中には、新しいものも年数を経たものもあった。新盆の夜、その梅酒を飲みながら父を懐かしんだ。生前、人生万般について十分に語り合う機会がなかったことを、今でも残念に思っている。平成12年作。『河岸段丘』所収。

  • 箱釣

    10月 10th, 2023

    祭や縁日の露店で水槽に金魚などを泳がせ、紙の杓子ですくったり、餌なしの鉤で釣らせたりするもの。金魚すくい。子供に人気がある、夏に相応しい風物。

  • 草の絮(わた)

    10月 10th, 2023

    秋、カヤツリグサ科などの草の穂花がほおけて、綿状になったさま。「草の穂」の傍題。好天の日、白銀の草の絮が風に乗ってとぶさまは、秋らしい眺めだ。

  • 芭蕉の推敲(8)

    10月 9th, 2023

    五月雨をあつめて涼し最上川 芭蕉                              5月29日、大石田の髙野一栄亭における四吟歌仙の発句。「あつめて涼し」は、眼前を流れ下る最上川の涼感を賞して、一栄への挨拶の心を込めた。一栄の脇句は、                      岸にほたるをつなぐ舟杭 一栄                              一栄宅は最上川に臨んだ船宿で、裏座敷から最上川の景色が眺められたのだ。

    さみだれを集て早し最上川 芭蕉                            「涼し」を「早し」に推敲した改作で、『おくのほそ道』にはこの形で載っている。「閑かさや」の句と同様、『猿蓑』編纂の後『おくのほそ道』決定稿の染筆までの間になされた推敲だ。この推敲の背景には、実際に舟に乗って最上川を下った芭蕉の経験がある。直接経験の感動が、「早し」の一語に集約されている。たった一字の推敲が句の成否を決めた例。

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