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俳句の庭

  • 廣瀬直人の一句(15)

    3月 1st, 2026

    みづうみの目覚めの音の春時雨 直人

    「春時雨(はるしぐれ)」は立春を過ぎてから降るにわか雨(通り雨)のこと。冬の時雨には寂しさや冷たさがあるが、春時雨には春らしい明るさや華やぎが感じられる。

    掲句は「春時雨」が湖に降りそそぐ音を、その湖の目覚めの音と感受しての作品。春の到来を音により感受した句だが、冬季間結氷していた湖が、春になって氷が解け、折りからの「春時雨」にけぶっている様が、自ずから思い浮かぶ。格助詞「の」を3度用いた単純な声調に、春を迎えた弾むような喜びがある。富士五湖のような山間の湖を想像すると、一層味わい深い。平成5年作。『遍照』所収。

  • 四手の芽

    3月 1st, 2026

    春になると様々な木が芽を吹く。四手(椣、しで)もその一つ。初夏の頃、新緑とともに垂れ下がる黄褐色の花穂(雄花)が特徴的で、しめ縄の紙垂(しで)に似ていることから、この名がある。花に先立って、仲春の頃コナラやクヌギなどとともに芽吹く。名前のある特定の木々の芽吹きを総称して「名の木の芽」というが、「四手の芽」もその一つ。

  • リユウグウノツカイ食うてもみたき春 角谷昌子

    3月 1st, 2026

    「春」は四季の一つで、立春(2月4日頃)から立夏(5月6日頃)の前日までのほぼ90日間。草木や動物たちの活動が活発になる季節である。「春」という語には、未来が開けたような明るいひびきがある。

    掲句は「リユウグウノツカイ」を食ってみたいという。当然戯れ言(ざれごと)には違いないが、そんな戯れ言の一つも言ってみたくなるところが、いかにも春である。リユウグウノツカイ(竜宮の使い)は、世界中の外洋に生息する硬骨魚類で最長の深海魚。目撃されることも稀で、海岸に現れると大地震が起きるとの言い伝えがあり、また、人魚のモデルになった魚とも言われている。そんな魚だからこそ、それを食ってみたいとの幻想が活きてくる。朦朧と立ち込める靄のように、春最中の想像力には際限がない。古くからある「亀鳴く」「蜃気楼」「逃水」などの幻想的・浪漫的な季語が、おおかた春季なのも、春という季節の一面を表しているのだろう。『俳句』2026年3月号。

  • チューリップの芽

    2月 28th, 2026

    特定の種類を指さない草の芽吹き全般は「草の芽」というが、朝顔や桔梗などの名のある草の芽は、それぞれの名を用いて「朝顔の芽」「桔梗の芽」などという。歳時記には、これらは一括して「名草の芽」として掲載されている。「チューリップの芽」もその中の一つ。ユリ科の多年草であるチューリップの球根が新芽を出すのは2~3月頃。単に「チューリップ」といえば晩春の頃咲く花のこと。

  • ほつと咲きほほと満ちゆく桃の花 高浦銘子

    2月 28th, 2026

    桃は晩春の頃、桜に少し遅れて淡紅色の花を咲かせる。華やぎのある桜の花と比べると、桃の花には親しみやすい鄙びた美しさがある。

    掲句は、咲き始めから満開になるまでの「桃の花」の風情を、「ほつと」「ほほと」という二つの擬態語により描写した作品。「ほつと」咲いた一輪の「桃の花」には、寒さからようやく解放された安堵が感じられ、「ほほと満ちゆく」には、咲き満ちていく「桃の花」の笑み零れるような豊かな風情が、掬い取られているように思う。桃が咲いていく間も季節は進み、四囲は春爛漫の季を迎える。『俳句』2026年3月号。

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