土筆(つくし)は、トクサ科の多年草である杉菜(すぎな)の胞子茎。先端の筆のような部分から胞子を飛ばして仲間を増やす。春の訪れとともに土手や畦道に群生する。土筆がたくさん生えている野原が「土筆野」。

土筆(つくし)は、トクサ科の多年草である杉菜(すぎな)の胞子茎。先端の筆のような部分から胞子を飛ばして仲間を増やす。春の訪れとともに土手や畦道に群生する。土筆がたくさん生えている野原が「土筆野」。

天上に常の風筋袋掛 直人
「袋掛(ふくろかけ)」は、梨、桃、林檎、葡萄などの果実に、害虫や鳥、病気から守るための紙袋をかぶせる作業。果樹により時期は異なるが、おおむね5月上旬〜6月上旬頃にかけて行われる。
掲句は、葡萄や桃の袋掛け作業をしているとき、ふと頭上の空に「常の風筋」が仰がれたとの句意。夏の甲府盆地上空を吹き抜ける風には、 南西方向の南アルプスから山を越えて吹き下りる風や駿河湾から富士川に沿って南から北(盆地)へ吹く風があり、この句の「風筋」がそのどちらなのかは定かでないが、いずれにしても、その地に定住する作者が知り尽くしている風が、頭上の青空を吹き抜けているのだ。揺るぎのない土着の目が捉えた「風筋」である。昭和54年作。『朝の川』所収。
日本原産のアジサイ科の落葉低木。ウツギの近縁種の一つ。関東以西の山野に自生するほか、庭木としても植えられる。ウツギに似ていて、全体的に小型(姫)であることからこの名がある。ウツギと同様、枝の芯が空洞になっている。 4月中旬から5月にかけて、一般的なウツギよりもやや早く開花する。手元の歳時記には載っていないが、「卯の花」の傍題と考えていいだろう。

秋に拾った樫や椎、松、杉などの木の実を、将来の植林や庭木のために苗床や山膚、庭などに蒔くこと。春の彼岸(3月20日頃)の前後に行われることが多い。春を迎えて、新たな命を育てる希望や期待が込められている。

言葉待ちつつ涼しさの中にゐる 直人
「涼し」は夏の暑さの最中に思いがけず覚える心地よい涼しさのこと。暑いからこそ、ひと筋の涼気を一層ありがたく感じる。
掲句には「北海道雲母の会(三句)」との前書きがある。普段は誌上でのつながりしかない「雲母」の会員たちとの交友を深める場である。初対面の会員たちと、旧知の仲のような親しみを覚えて言葉を交わしている作者の姿が彷彿する。俳縁を通じた交友の涼しさが、さらりと表現されていて、捨て難い味わいがある。昭和52年作。『朝の川』所収。