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俳句の庭

  • 藺草生ふ

    2月 26th, 2026

    藺草(いぐさ)が湿地や水辺で芽を出すこと。藺草は仲春の頃から池や沼などに生えてくる水草の一つ。日本原産のイグサ科イグサ属の多年草(湿生植物)で、全国の湿地帯などに自生する。夏から初秋にかけて、茎の先端に花穂をつけ黄緑色の小花を咲かせる。夏に刈り取って乾燥させ、畳表などに利用する。別名「燈心草」。単に「藺草」又は「藺」といえば夏の季語になる。なお、手元の歳時記には掲載されていない。

  • 雪面のまた若返る春の雪 若井新一

    2月 26th, 2026

    「春の雪」は立春(2月4日頃)を過ぎて降る雪のこと。冬の寒気の中を降る雪とは異なり、溶けやすく儚い印象があり、牡丹雪、淡雪などともいう。桜の時期に降る雪は桜隠しとも呼ばれる。

    掲句は、雪国に降る「春の雪」を詠んだ作品。春になって降った雪が、雪面を若返らせたという。薄汚れた雪面に新雪が覆って、雪景色が様相を一変したのだ。降ってもすぐ解けてしまうといった「春の雪」の既存のイメージによるのではなく、豪雪地帯に降る雪を曇りのない目で見て詠んでいる。雪国の風土が紛れもなく表れている。『俳句』2026年3月号。

  • 白酒

    2月 25th, 2026

    3月3日の桃の節句(雛祭)に、邪気を払い長寿を願って飲まれる祝い酒。味醂に蒸米、麹などを混ぜ、ひと月ほど熟成させて作る。江戸時代から親しまれてきた。古代中国における、桃の花を酒に浸して飲むことで邪気を払う風習(桃花酒)が、日本伝来後白酒に変化したとされる。

  • 夕霞

    2月 25th, 2026

    春の夕暮れに、水蒸気で山野がぼんやりと霞む様をいう。春特有の柔らかく、どこか夢幻的でしっとりとした情景が現れる。「霞」の立つ時間帯によって、「朝霞」「昼霞」「夕霞」などといい、いずれも「霞」の傍題。夜間の同様の現象は「朧(おぼろ)」。

  • 廣瀬直人の一句(12)

    2月 25th, 2026

    どの雲となく近づきて春の富士 直人

    「春の富士」は雪解け前、山開き前の、桜などの春景色を背景にした富士山。「春の山」の傍題。雪を被って白皚皚の富士が春光を受けて麗しく野の彼方に据わる。

    掲句は、作者の住む甲府盆地から仰がれる「春の富士」を詠む。「どの雲となく近づきて」は、いくつかの浮雲が漂いながらゆっくりと流れていく様が思われる。折しも日永の頃。人も雲も、急ぐことなく歩みを進めていく。「春の富士」はそんな中に穏やかに聳える。昭和61年作。『朝の川』所収。

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