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俳句の庭

  • 須佐之男の大絵馬の煤払ひけり 亀井雉子男

    3月 20th, 2026

    「煤払(すすはらい)」は、新年を迎える準備として12月13日の「事始め」を中心に行われる屋内の煤や埃を落とす大掃除のこと。一年の汚れと厄を払う神聖な年末の行事。

    掲句は、年末の大掃除で、神社の本殿や絵馬堂などに掛けられている「須佐之男(すさのお)」の大絵馬の煤を払ったという。須佐之男命(すさのおのみこと)は、日本神話に登場する神で、荒ぶる暴風雨の神からヤマタノオロチを退治する英雄神へ成長した。厄除け・縁結び・五穀豊穣の神として神社などで祀られている。単明な句柄だが、一年の汚れと厄を払う神聖な年末の行事である「煤払」の雰囲気がよく表れている一句。『俳句四季』2026年4月号。

  • 廣瀬直人の一句(26)

    3月 19th, 2026

    子に送られて朝越ゆる夏の川 直人

    「夏の川」には、青々とした山間を流れる清流、梅雨時の濁流、子供たちの遊び場になる川など様々な表情があり、水量を増した力強さと涼しさを併せ持つ。

    掲句は、身近を流れる「夏の川」を毎日のように渡る朝の出勤風景を詠む。背中に子の視線を感じ、時には振り向いて手を振りながら、「夏の川」を越える作者の日常が、過不足のない表現により浮かび上がる。水量を増した「夏の川」のエネルギーに、壮年の作者の生活意欲が重なる。当時、作者は県立高校の教諭として甲府まで通っていた。昭和35年以前の作。『帰路』所収。

  • レッドロビンの芽

    3月 19th, 2026

     レッドロビンはベニカナメモチ(紅要黐)の園芸品種で、植物分類上はバラ科の常緑小高木であるカナメモチの仲間。生垣や庭木などとして植えられる。春に真っ赤な新芽を出す。夏には新芽がほぐれて、赤から緑へと色を変えていく。歳時記には、「名の木の芽」として包括的に掲げられている。

  • 彼岸寒

    3月 19th, 2026

    春のお彼岸の時期になっても、冬のような寒さが戻ってくること。「彼岸」は、春分の日(中日)を挟む前後3日間(計7日間)の期間で、ようやく春の訪れを実感する時期。この時期、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、寒さも治まることが多いが、時には冬の寒さが戻ることもある。

  • 廣瀬直人の一句(25)

    3月 18th, 2026

    稜線に青空の帯別れ霜 直人

    「別れ霜」は、春が深まった頃、その冬の最後に降りる霜のこと。古来、立春から数えて八十八夜(5月2日頃)頃に最後の霜が降りるとされ、「八十八夜の別れ霜」と言われる。果樹園や茶園を営む農家が恐れる霜である。

    掲句は、「別れ霜」の降りた朝、山の端に沿う青空の帯を眺めての作品。写実に徹した句柄だが、果樹栽培をしてきた人の目と心が、この季語の選択に活きている。葡萄や桃がいよいよ新芽を広げようとする頃であり、この時季の霜は果樹の生育にとって大敵なのだ。平成23年作。『風の空』以後。

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