コンテンツへスキップ
    • HOME
      • POST
      • PROFILE

俳句の庭

  • 廣瀬直人の一句(48)

    5月 12th, 2026

    瑞牆山は夜明けの容稲の花 直人

    「稲の花」は、お盆前後の蒸し暑い日に、綿毛のような白い小さな花を午前中から昼頃にかけて咲かせる。受粉するとすぐに散ってしまう。ささやかな花だが、稲の実りにとって重要な植物の営みである。

    掲句は、作者の在所から北に位置する「瑞牆山(みずがき)」を詠んだ作品。「瑞牆山」は秩父山塊の中でも異彩を放つ山容。周囲の緩やかな山並みとは対照的に、切り立った岩肌が積み重なる。作者はこの山の夜明けの姿を、折から咲き始めた「稲の花」とともに描く。近景の「稲の花」と遠景の「瑞牆山」の取り合わせは、甲斐の風土の分厚さを感じさせる。昭和48年作。『日の鳥』所収。

  • しろじろと夜のさくらとなりゆくか 片山由美子

    5月 11th, 2026

    「桜」は花の中の花であり、『古今集』などに収められているように、古くから詩歌に歌われ、日本人に愛されてきた。多くの野生種が各地に広く自生するほか、公園や街路などに観賞用として植えられる。時間帯により「朝桜」「夕桜」「夜桜」などという。

    掲句は、暮れぎわの桜を詠んだ作品。刻々と闇が降りてくる時分、それに抗するかのように夕闇に白々と浮かんでいる桜。「さくら」と仮名書きしたことで、眼前の植物としての桜が、心の中の桜のイメージと重なってくる。疑問の意の終助詞「か」は、暮れていく桜を前にした作者の心の揺らぎを表しているようだ。平明だが平凡を突き抜けた作品。『文藝春秋』2026年6月号。

  • 軽暖(けいだん)

    5月 11th, 2026

    初夏の少し汗ばむ程度の暑さ、軽やかで心地よい暑さのこと。日差しが眩しい爽やかな気候である。季節の変わり目の快適さが捉えられている。大正時代に定着した比較的新しい季語。「薄暑」の傍題。

  • 水臘樹の花

    5月 11th, 2026

    水臘樹(いぼた)は、日本原産のモクセイ科イボタノキ属の落葉低木。名前は、樹皮に付くイボタロウムシが分泌するロウが、かつて疣(いぼ)取りに使われたことに由来する。別名「疣取木(いぼとりぎ)」。日当たりの良い山野、林縁、川沿いなどに自生する。初夏の頃、枝先に直径5ミリ程度の白い小花が房状に集まって咲く。爽やかな香りがする。

  • 廣瀬直人の一句(47) 

    5月 10th, 2026

    父は遠くの畠にありし油蟬 直人

    「油蟬(あぶらぜみ)」は日本で最も身近なセミの一つ。夏の暑い盛りに、ジリジリ、ジージと油を揚げているような音で鳴く。「蟬」の傍題。

    掲句は、前年に亡くなった父を追想しての作品。現に耳に聞こえている油蟬の声が、健在だった頃の父の面影を誘い出したのだ。と言っても、その父は眼前にいるのではなく、いつも遠い畠で農事に精を出している人として、作者の胸に浮んできた。喧しく鳴きたてる油蟬の声が、父とともに流れた静謐な歳月を呼び戻す。昭和46年作。『帰路』所収。 

←前ページ
1 … 24 25 26 27 28 … 658
次ページ→

WordPress.com Blog.

コメントを読み込み中…

    • 登録 開始日
      • 俳句の庭
      • WordPress.com のアカウントをすでにお持ちですか ? 今すぐログイン
      • 俳句の庭
      • 登録 開始日
      • 登録
      • ログイン
      • このコンテンツを報告
      • サイトを Reader で表示
      • 購読管理
      • このバーを折りたたむ