コンテンツへスキップ
    • HOME
      • POST
      • PROFILE

俳句の庭

  • 廣瀬直人の一句(4)

    2月 13th, 2026

    全貌といふ初富士に会ひにゆく 直人

    「初富士」は元旦などにその年の最初に見る富士山のこと。雪を頂いた清々しい姿や、初日の出を浴びている様は、新しい年を迎えた気分に相応しい。

    掲句は、新たな年を迎えて「初富士」に会いに行くところを詠む。作者の住む甲府盆地からは、全貌の富士を目にすることができないのだ。だが、この句では、「初富士」はまだ作者の眼前には現れていない。この句の焦点は「初富士」そのものではなく、新年を迎えて「初富士」に見(まみ)えんとする作者の心の弾みにある。「初富士」を眼前にする前の作者の心の逸りが、そのまま作品の気息になっている。「全貌といふ」とのさり気なく置かれた上七の措辞に熟練の味わいがあろう。平成20年作。『風の空』所収。

  • 結氷した東川

    2月 12th, 2026

    2月10日の早朝に撮った東川(あずまがわ)。一面に氷が張っていた。踏めば割れそうな「薄氷(うすらい)」ではあるが、まだまだ寒さは厳しい。

  • 春兆す

    2月 12th, 2026

    立春(2月4日頃)を過ぎ、寒さが緩んでかすかに春の気配を感じること。「春めく」の傍題。春は少しづつやってくる。厳しい寒さの中に日差しの明るさや雪解け、芽吹きなど、春になったことを実感させる小さな変化を見つけた喜びを表現する。

  • 廣瀬直人の一句(3)

    2月 12th, 2026

    藍を着て藍匂はせる除夜詣 直人

    「除夜詣」は大晦日の夜から元旦にかけて、一年の感謝と新年の無事を祈り、翌年の恵方に当たる神社仏閣に参詣すること。現代では、年が明けてから参拝する「初詣」が一般的になっている。

    掲句は住まい近くの産土(うぶすな)の神社に「除夜詣」に出掛ける作者自身を詠んだもの。藍染の作務衣は作者の日常着でもあるが、この夜ばかりは新調の作務衣を着て出かけたのだ。天然藍を発酵させる際に出る藍染特有の匂いは、着古すにつれて薄れてゆくが、新調の藍染には生(き)のままの匂いがある。その匂いに、新年を迎える改まった思いが重ねられている。平成22年作。『風の空』以降の作品。

  • 廣瀬直人の一句(2)

    2月 11th, 2026

    正月の雪真清水の中に落つ 直人

    「正月」は一年の一番初めの月(一月)のことだが、特に三が日や松の内(関東は7日まで、関西は15日まで)が正月気分に浸る期間。新たな年を迎えてのめでたい雰囲気がある。松飾を立て、鏡餅を飾り、雑煮を食べて一年の無病息災を願う。

    掲句は自他ともに認める直人の代表作である。作者の自句自解によれば、新年会に山廬を訪れたときの作品であり、当日は、前の晩から降り続いた雪が朝になって止んだという。山廬裏山の湧水といい、降り止んだばかりの雪といい、素材が揃っている中で佳句を得た訳だ。対象との一期一会の出会いを活かせるかどうかが、作句の分かれ道なのだろう。

    加えて、この句のポイントは上五の「正月の」にあることを指摘しておきたい。飯田龍太は、この句について、「「真清水」の澄み、まさにここに極まった感がある。」云々と鑑賞しているが、なぜ上五が「一月の」「元日の」ではなく「正月の」なのかについての具体的な言及はない。だが、この句で点睛の働きをしているのは、「正月」という上五に据えられた季語だろう。上五に「正月の」と置いたことにより、句に馥郁とした華やぎが生まれた。白銀の雪の世界に紅を点じたような趣である。この辺りの季語の選択は、一筋縄ではいかないところ。昭和47年作。『日の鳥』所収。

←前ページ
1 … 21 22 23 24 25 … 606
次ページ→

WordPress.com Blog.

 

コメントを読み込み中…
 

    • 登録 開始日
      • 俳句の庭
      • WordPress.com のアカウントをすでにお持ちですか ? 今すぐログイン
      • 俳句の庭
      • 登録 開始日
      • 登録
      • ログイン
      • このコンテンツを報告
      • サイトを Reader で表示
      • 購読管理
      • このバーを折りたたむ