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俳句の庭

  • 鞦韆を立ち漕ぎにして見ゆるもの 蟇目良雨

    5月 18th, 2026

    「鞦韆(しゅうせん)」はブランコのこと。古くは中国から伝わり、貴族の遊びだったが、現在は子供たちに人気の遊具。冬の寒さから解放されて春風の中で漕ぐ躍動感に、その醍醐味がある。

    掲句は、「鞦韆」を立ち漕ぎにして、高い目線から見えてくるものがあると詠む。当たり前のことだが、人は、自分の目の高さから世の中を見ている。大人には大人の、子供には子供の見え方があるだろう。ブランコを立ち漕ぎにして、座っているときより周囲が広々と見えてくるのは気持ちいいものである。この句は、視界が開けた気持ちよさに加えて、日頃我々が意識していない外界のものの見え方を改めて意識させるところがある。『俳壇』2026年6月号。

  • 黒鯥(くろむつ)

    5月 18th, 2026

    スズキ目ムツ科の海水魚。全身が黒っぽく、目が大きい。主として、太平洋沿岸の深海に生息する。脂がのる冬が旬。なお、一般的に深海に棲む脂ののった白身魚を総称して「鯥(むつ)」と称するが、その中でスズキ目ムツ科の海水魚は、「黒鯥」と「本鯥」。「赤鯥」は分類上「鯥」の仲間ではない。

  • 夏灯(なつともし)

    5月 18th, 2026

    夏の夜の灯火のこと。日中の厳しい暑さがようやく和らぐ夏の夜、家の明かり、提灯、湖畔の漁火などの戸外の灯火に、視覚的・心理的な涼しさや安らぎを覚える。

  • クレーンの麒麟向き合ふ春隣 佐怒賀直美

    5月 17th, 2026

    「春隣(はるとなり)」は、厳しい寒さのなかにあって、すぐそこまで春が近づいていること。晩冬には寒さが緩む日が多く、春の訪れを感じることが多くなる。梅や椿の蕾が解け始め、日一日と日脚が伸びてくる。

    掲句は、街中や郊外の工事現場などに林立するクレーンを麒麟(きりん)に譬えて、春が近づいてくる季節の明るい気分を表出した作品。確かにクレーンが街の空に抜きん出て立っている様は、首の長い麒麟がぬっと立っているのに似ている。クレーンは、詩趣に乏しい現代風の機械装置だが、動物園の人気者である麒麟に譬えたことで、詩の素材になった。心に童心を宿していなければ、探り当てられない比喩である。『俳壇』2026年6月号。

  • 田水引く

    5月 17th, 2026

    田植えの前に、用水の溝や堰(せき)を掃除・修理して、田んぼに水を引くこと。「代田(しろた)」の傍題。なお、「代田」は、代掻き(しろかき)を終え、水が張られて田植えを待つ状態の田んぼのこと。

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