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俳句の庭

  • 新季語探訪(24)

    6月 7th, 2025

    「舟下り」は手元の歳時記には季語として掲載されていないが、夏の季感は十分にあるだろう。京都の保津川、山形の最上川、秩父の長瀞など、「舟下り」の名所として思い浮かぶところは多い。類似の季語に「舟遊び」がある。納涼のため舟を出すことで、涼風に吹かれながら景色を眺めたり、酒肴を持ち込んで舟の宴を楽しんだりする。両者は涼を楽しむ点では共通しているが、「舟下り」が急流にのって漕ぎ下る動のイメージがあるのに対して、「舟遊び」はひとところにとどまって涼む静のイメージがあるだろう。

    「舟下り」が季語として認知されたとは言えないのは、盛夏の涼を求めての舟下りのほか、桜の咲く時期の舟下りにも別の興趣があり、必ずしも夏季と定めがたいからなのかも知れない。実際、「舟下り」を詠んだ作品の中には、「桜」「花」などを主季語として春の句として詠んでいるケースも多い。

    以上のような問題点はあるものの、「舟下り」を夏季と定めることにより、俳句の表現の幅を広げることができるように思うがいかがだろう。

  • 麦刈

    6月 7th, 2025

    初夏から梅雨入り前にかけて、大麦、小麦、裸麦、ライ麦、燕麦(えんばく)などの熟れた麦を刈り取る作業。刈り取った麦を干して乾燥させるため晴れた日が選ばれる。梅雨の前の強い日差しの中での作業である。昔は鎌を用いた手作業だったが、今は稲・麦兼用の自脱型コンバインで収穫されることが多い。刈り取ったものを脱穀するのが「麦扱(むぎこき)」、扱き落とした麦の穂から実を落とすのが「麦打」。実を取り去ったあとの「麦稈(むぎがら)」は、麦藁帽子など色々な細工・用途に使われる。

  • 麻服

    6月 7th, 2025

    麻を使った夏に着る洋服のこと。「夏服」の傍題。麻は長くて強い繊維が取れる植物の総称で、苧麻(ちょま)や亜麻(あま)などが使われる。さらりと心地よく着られる夏季に相応しい素材。

  • 新季語探訪(23)

    6月 6th, 2025

    「桜隠し」は桜の咲く頃に降る季節外れの雪のこと。桜を降り隠すように降りつつむ雪であり、桜の花房の上に凭れかかるように降り積もる水気の多い雪が想像される。もともとは新潟県や東北地方を中心とする雪国の方言であり、雪国に住む人々の風土感と春を待ち望む心が託されている言葉である。限られた地域で通用してきたいわゆる地貌季語の一つだが、

    可惜夜の桜かくしとなりにけり 齋藤美規

    などの佳句の積み重ねにより、1990年代以降歳時記に掲載されるようになった。「春の雪」の傍題として掲載されていることが多い。地域限定のローカルな言葉が俳句に詠まれることにより全国化していった一例だろう。

    関東地方でも、桜の咲く3月下旬以降に時ならぬ大雪に見舞われることがあり、「桜隠し」の情景を目にすることがある。今後チャレンジしてみたい季語である。

  • タンクトップ

    6月 6th, 2025

    袖なしで、かつ、襟ぐりが幅広又は深く、また、合わせや衿のない上半身用下着、上衣または水着のこと。1920年代の水着であるタンクスーツ( Tank suits)の上部にデザインが似ていることからこの名があるという。上衣としては男性用・女性用のいずれも存在するが、下着としては通例女性用のものをさす。歳時記には掲載されていないが、夏の季感はあるだろう。

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