ヨーロッパ原産のキク科タンポポ亜科コウリンタンポポ属の多年草。日本には明治中期に観賞用として渡来し、現在は北海道を中心に野生化している。晩夏の頃、茎の頂部にタンポポ類に形がよく似たオレンジ色の頭花を咲かせる。なお、歳時記には掲載されていない。花期が異なることから、「蒲公英(たんぽぽ)」(春季)として詠むのは難しいようだ。

「涼し」は夏の暑さの中で思いがけず覚える涼しさのこと。水辺や木陰で肌に感じる涼しさもあれば、目や耳で感受する涼味もある。秋になってから感受する本格的な涼しさは「新涼」、「初涼」といい区別する。
掲句は胸元に吊る「ペアリング」から涼しさを感受しての作品。「ペアリング」は恋人同士がペアで身につけるお揃いの指輪のことだが、ときにはネックレスにして胸元に吊ることもある。この句の対象は作者の家族や知己であっても、通りすがりに見かけた光景であってもいいが、その光景から涼しさを感受したところには、「ペアリング」をしているカップルに対する仄かな祝意もあるようだ。『俳壇』2025年7月号。
三角の帆に風をはらんで進む小型の西洋式帆船。大洋を巡航するための大型のものもある。夏のレジャーの一つで、スポーツ競技としてオリンピックの正式種目にもなっている。

夏の暑い日光を遮るために店先などに白い布や簀(す)、ビニールなどを張りめぐらしたもの。人間だけでなく商品などが強力な紫外線で傷むのを防ぐ目的もある。街角のカフェテラスや遊覧船の甲板などにはカラフルな日除も用いられる。「日覆(ひおおい)」ともいう。

「緑蔭」は夏の日差しのもとの繁った木立の陰をいう。木々の繁りからちらちらと零れる日の斑も心地よい。明るい緑陰の椅子で読書をしたり会話を楽しんだりする人々の姿も想像される。
掲句は木蔭へ向かって、2メートル近くもある大きなコントラバスをキャリーカートなどを使って押してゆく場面を詠んだ作品。押していく先にあるのは野外の演奏会場だろうか、それとも一人練習するために木蔭へ押してゆくのだろうか。いずれにしても、「緑蔭」という季語の明るいひびきが一句全体をつつんでいる。近くに談笑する人々の声も聞こえそうだ。『俳句』2025年7月号。