春になって新しく芽吹いたばかりの、瑞々しく柔らかい草のこと。蓬(よもぎ)、芹(せり)、虎杖(いたどり)などのように、摘んで食用にする草も多い。「嫩草(わかくさ)」、「新草(にいくさ)」などともいう。

春になって新しく芽吹いたばかりの、瑞々しく柔らかい草のこと。蓬(よもぎ)、芹(せり)、虎杖(いたどり)などのように、摘んで食用にする草も多い。「嫩草(わかくさ)」、「新草(にいくさ)」などともいう。

「雪」は春の花、秋の月と並んで冬の美を代表する季語。降る雪そのもの、雪景色、雪が積もる様など、雪を詠む場合の表現の幅は広い。純白で静寂を感じさせる雪は、寒さとともに自然美や儚さを感じさせる。
掲句は殉教地を訪れての作品。殉教地と言えば、江戸時代のキリスト教弾圧下で多くの信徒が処刑された長崎(西坂公園)や京都(六条河原)が思い浮かぶが、全国には他にも何カ所かあるようだ。墓碑に刻まれた殉教者の中に、「ルイス七歳」という幼い子の名を見つけた作者の心の衝撃や揺らぎが、「雪降り降る」とのリフレインを含んだ字余りの措辞に表れている。作者の心の揺らぎを飾らずに表出したこの措辞が、作品の余情・余韻を深めている。作品の決め手は作者の心であることを改めて認識させられる。『俳句』2026年3月号。
山に浮びて剪定夫濃くただよふ 直人
「剪定(せんてい)」は、その年の実の生りを良くするため、リンゴ、梨、桃、梅、葡萄などの果樹の芽吹き前に枝を刈り込むこと。おおむね3月頃に行われる。
掲句は作者の住まう甲府盆地の果樹園での作業風景を詠んだもの。桃などの果樹に登って作業をしている「剪定夫」の四囲を、山々が取り囲む。作者にとって見慣れた景であったろう。「濃くただよふ」との一見冷やかな突き放した措辞に、見慣れた景を前にした作者の工夫の跡が見える。日頃親しんでいる身近な風土を新鮮に捉えるのは、決して生易しいものではないのだ。昭和47年作。『日の鳥』所収。
蔵出しの匂ひに酔ふな燕の子 直人
「燕の子」は、巣から黄色い口を大きく開けている燕の雛鳥や、巣立ちの時期の燕の幼鳥をいう。燕は、春、南方から渡って来た後、人目の届く軒下などで営巣する。
掲句は、酒蔵の梁の巣などに育つ「燕の子」に向かって、「蔵出し」の酒の匂いに酔うなと呼びかけた作品。「蔵出し」は、貯蔵してあった蔵から出したばかりの酒。作者はその芳醇な香りを愉しみながら、燕の巣を見上げているのだ。この句のもつ親しみ深い声調からみて、身近にあるごく小規模な酒蔵を思い浮かべたい。日一日と育っていく「燕の子」に寄せる作者の愛情も感じられる。平成20年作。『風の空』以降。
藺草(いぐさ)が湿地や水辺で芽を出すこと。藺草は仲春の頃から池や沼などに生えてくる水草の一つ。日本原産のイグサ科イグサ属の多年草(湿生植物)で、全国の湿地帯などに自生する。夏から初秋にかけて、茎の先端に花穂をつけ黄緑色の小花を咲かせる。夏に刈り取って乾燥させ、畳表などに利用する。別名「燈心草」。単に「藺草」又は「藺」といえば夏の季語になる。なお、手元の歳時記には掲載されていない。
