「卒業」は、所定の学業を修めて学校を去ること。幼稚園から大学・大学院まで、上級の学校に進むたびに、それぞれの段階の締め括りとして卒業があり、卒業式はたいてい3月に行われる。一つの学業課程を終えることができた安堵感・達成感とともに、将来への希望や不安、級友や先生との別れなど、様々な感情が入り混じる。
掲句は、子が小学校を卒業したときの親としての安堵感を詠んだもの。庭先の辛夷の花びらを啄みに来た鵯を眺めていてできた句だったと記憶している。3月になると、梅に始まり、辛夷や椿、桜などが次々に咲き、人間のみならず、鵯にとっても好適な季を迎える。佳き季節を迎えて上機嫌の鵯が鳴きながら家々の庭を毎日のように巡っている。平成17年作。句集『春霙』所収。