北太平洋高気圧から吹き出す風が高温と湿気をもたらし、日本列島の夏季はたびたび耐え難い暑さに見舞われる。しかしこの暑さなくしては、稲作や果樹栽培などでも秋の実りは有り得ず、恵みの暑さでもある。また、初夏の薄暑、梅雨末期の蒸し暑さ、盛夏の頃の極暑・炎暑・溽暑など、一夏の間に様々な暑さを経験する。どんな事物に暑さを感じるかに、詠み手の感じ方の個性が表れる。

北太平洋高気圧から吹き出す風が高温と湿気をもたらし、日本列島の夏季はたびたび耐え難い暑さに見舞われる。しかしこの暑さなくしては、稲作や果樹栽培などでも秋の実りは有り得ず、恵みの暑さでもある。また、初夏の薄暑、梅雨末期の蒸し暑さ、盛夏の頃の極暑・炎暑・溽暑など、一夏の間に様々な暑さを経験する。どんな事物に暑さを感じるかに、詠み手の感じ方の個性が表れる。

「夜涼」は季語「涼し」の傍題で、夜になって感じられる涼しさをいう。暑い夏の一日にも、涼しさが感じられる時間帯があり、朝涼、夕涼、晩涼などというが、「夜涼」もその一つ。近頃は熱帯夜といって、昼の暑さが夜も解消されないことも多くなった。なお、暑気を避けて夏の夜に戸外などで涼むことを「夜涼み」といい、こちらは「納涼(すずみ)」の傍題。

天の川が秋の季語となっているように、星は空気が澄んだ秋が美しいとされるが、からりと晴れた夏の夜に屋外に出て仰ぐ星空にもまた格別の解放感がある。降ってくるような涼気の中で、蠍座・射手座・乙女座・牛飼座などの夏の星座を仰ぎ、星のことを語り合う。夏の夜の楽しみの一つだ。

脱皮した蝉のぬけ殻のこと。蝉の幼虫は3~10年ほど地中で過ごして蛹となり、その後地表に出て成虫となる。夏、地上に出てきて最後の脱皮を行い残った殻を「空蝉」、「蝉の殻」などという。殻には眼や節の一つ一つの跡が精緻に残る。
「うつせみ」はもともと「現し身」「現せ身」で生身の人間をさしたが、のちに「空せ身」(空しいこの身、魂のぬけ殻)という反対の意味に転じた。それゆえ「うつせみ」に、ぬけ殻となって空洞である「空蝉」の文字が充てられ、両者のイメージが重なった。


