その年、最初に咲く桜や、咲いて間もない桜のこと。初めて咲いた桜の初々しさや春が訪れた喜びが込められている。「初花」ともいうが、「初桜」は植物としての桜そのものにより重きを置いた言葉。

その年、最初に咲く桜や、咲いて間もない桜のこと。初めて咲いた桜の初々しさや春が訪れた喜びが込められている。「初花」ともいうが、「初桜」は植物としての桜そのものにより重きを置いた言葉。

草靡きつつ郭公の声揃ふ 直人
「郭公(かっこう)」は、初夏に南方から日本へ渡来し初秋の頃帰っていくホトトギス科の鳥。明るい林や高原で聞くカッコーという鳴き声は、古くから親しまれてきた。「閑古鳥」ともいう。
掲句は、明るい高原の草原を思い浮かべたくなる作品。草原の遠く近くに鬱勃と鳴き続ける郭公。テンポの不揃いなそれらの声が、ときに揃うことがあるという。健やかな作者の耳が、草原の彼方の郭公の声に向けられているのだ。「草靡きつつ」の上五が、高原を吹きわたる心地よい微風を感じさせる。昭和43年作。『帰路』所収。
常盤莢蒾はヨーロッパ、北アフリカ原産のレンプクソウ科ガマズミ属の常緑低木。公園などに植えられる。3〜4月頃、白い小花を散房状に咲かせる。秋から冬にかけて実が黒く熟す。なお、日本に自生する一般的な莢蒾(がまずみ)は、 スイカズラ科の落葉低木で、初夏の頃に白い花を咲かせ、秋に実が赤く熟す。なお、常盤莢蒾は、花も実も歳時記に掲載されていない。

ヨーロッパ原産のシソ科の越年草。明治時代に渡来した。道端や空き地、野原、土手などに自生する。3月から5月にかけて、上部の葉腋に明るい赤紫色の唇形花を咲かせる。日本の在来種の「踊子草(おどりこそう)」が夏の季語であるのに対し、「姫踊子草」はより早い時期に咲く(春季)。

「風車(かざぐるま)」は、風で羽根が回る仕掛けの紙やセルロイド製の玩具。かつては春になると「風車売り」が街に出て、子供たちの玩具として親しまれた。お詣りの土産としても売られていた。
掲句は、「かざぐるま」自身が風の正面を探り当てたという句意。露店の売り物の「かざぐるま」が、風の吹いてくる方に向いて一斉に回る様が想像される。或いは、「かざぐるま」を持っている子が、風の向きを探り当てたとの意味合いかも知れない。いずれにしても、向かい風を得て、音を立てて勢いよく回る「かざぐるま」が見えてくる。風は目に見えないので、正確な向きを探り当てなければならないのだ。『俳句四季』2026年4月号。