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俳句の庭

  • 囀やパン一片で皿拭ふ 山口昭男

    2月 29th, 2024

    「囀(さえずり)」は、春になって繁殖期を迎えた小鳥たちの、求愛や縄張りを知らせる鳴き声。冬の間は地鳴きと呼ばれる短い鳴き声を発するだけだった小鳥たちが、春になると、高い梢などに姿を見せて囀り始める。

    掲句は、日常のさり気ない動作を詠んで、春到来の気分を感じさせる作品。皿に残った魚肉のソースなどをパンで拭って食べることは、気の置けない家での食事の際にはよくあることだ。健康な食欲、無駄を出さない倹しい生活ぶりなどを想像させる動作だが、「囀」と取り合わせると、小鳥の声がとどく春の朝の明るい食卓風景が浮かび上がる。日常の何気ない動作も句の素材になることを、この句は教えてくれる。『俳句』2024年3月号。

  • 二月尽(にがつじん)

    2月 29th, 2024

    二月の尽きること。ようやく寒気もゆるみ、日の永さや日差しの強さ、風の和らぎに春の訪れを感じ始める頃であり、まだ寒い日はあるが、厳しい寒さから解放される安堵感がある。近代以降に定着した季語。

  • 下萌(したもえ)

    2月 29th, 2024

    早春、枯葉や枯草に隠れるように大地に草の芽が生え出ること。下萌には、確かな春の訪れと厳しい冬を耐えた生命力が感じられる。冬枯れの野や庭に、また、田の畦や道端や街路樹のまわりに萌え出た草の芽を見出すとき、待ちに待った春の到来を実感する。

  • 冬すみれ一会といふは過ぎてこそ 野中亮介

    2月 28th, 2024

    「冬菫」は、春に先駆けて咲く菫のこと。よく晴れた日に、日当たりのよい斜面などに咲いているのを見かけることがある。

    掲句は、ある人との「一会(いちえ)」を思い返しての作品。「一会」は、法会や茶会を指す場合もあるが、ここでは、一期一会ともいうように、ある人との生涯一度の出会いのこと。だが、会っている最中は、それが「一会」とは思いもしなかったのだ。あの時に会ったことが「一会」だったというのは、過ぎ去って初めて気づくこと。それも、命に限りある人間のこの世における厳粛な真実だろう。『俳句』2024年3月号。

  • 立金花(りゅうきんか)

    2月 28th, 2024

    キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草。山地や草原のやや湿った土地に自生。花期は5~7月。茎の先端および葉腋から長い花柄を伸ばし、黄色い花をつける。花弁に見えるのは萼片で、5~7枚になる。一般の歳時記には掲載されていない。なお、「金鳳花(きんぽうげ)」は春の季語。

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