二十四節気の一つ。太陽暦では2月20日頃。期間としての意味もあり、この日から、次の節気の啓蟄前日まで。空から降るものが雪から雨に変わり、雪が溶け始める頃である。積雪のピークであり、この頃寒さも峠を越える。暖地では、春一番が吹き鶯の鳴き声が聞こえ始める。農耕の準備を始める目安とされてきた。


茶の新芽は晩春から初夏にかけて摘まれる。初めに摘むのが一番茶で、二番茶、三番茶と続くが、一番茶が最も良質とされる。
掲句は、茶摘みの頃の茶畑を詠んだもの。秋から冬、春先にかけてくすんだ色合いを呈していた茶畑も、4月の半ばになると急速に新芽を伸ばして明るさを増していく。その萌黄色の明るさは風を染め、新芽の匂いは近隣の家々を包み込むほどだ。茶摘みといっても近年は機械化が進み、茶摘女たちの手摘みの姿を見かけることは稀になったが、それでも茶摘みの頃の茶畑の瑞々しい明るさは格別だ。令和3年作。
山茱萸(さんしゅゆ)は、中国、朝鮮より江戸中期に渡来したミズキ科の落葉高木。自生のものはほとんど見かけないが、花木・薬用植物として庭園などに栽植されている。葉の出る前の枝先に、黄色の細かな四弁花が球形に集まって咲く。春先、他の花に先駆けて咲く花の一つ。


春になって雪が解けて現れる黒々とした土や雨を十分に吸って芽吹を待つ土、畝を立てて耕しを待つ土のこと。折からの日差しを受けて匂わんばかりの土には、雪国の人でなくても春の訪れを実感する。

「余寒」は、暦の上では寒が明けて春になっているものの、まだ残る寒さのこと。
掲句には「ウクライナ侵攻一年」との前書きがある。前年の侵攻開始からはかばかしい進展がないまま1年を経過し、出口のない思いにとらとらわれることも多かった。同じ地球上にこのような悲惨な戦禍を被っている国があることを思いながら、冷え冷えとした2月の星空に目をさまよわせた。令和5年作。『俳句』2023年6月号。