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俳句の庭

  • 老爺柿(ろうやがき)

    2月 17th, 2025

    中国原産のカキノキ科の落葉広葉樹で渋柿の一種。正式名はロウアガキ(老鴉柿)。真っ黒に熟す実の様をカラスになぞらえて名づけられたという。数十年前に日本へ渡来し、庭木としての歴史は浅い。晩春の頃花をつけ、秋に実が生るが食用にならない。別名「ツクバネガキ」。歳時記には掲載されていないが、「柿」(秋季)の傍題として詠むことはできるだろう。

  • 涙すぐ乾いてしまふ水菜切る 竹岡佐緒理

    2月 16th, 2025

    「水菜」はアブラナ科アブラナ属の1、2年草。春先に出回る。淡緑色のさっぱりとした味とシャキシャキした歯応えが特徴。

    掲句は厨で「水菜」を切りながら、自らを振り返っての作品。厨に立つ前に涙で頬を濡らすような出来事があったのだ。だが、日々のルーティーンとして厨に立ったとき、既に涙は乾いてしまっていた。その時々の感情に溺れてばかりもいられない日常を、早春の季節感の中で淡々と明るく詠んでいる。切っている食材がほうれん草や小松菜だったら、この句のようなからりとした明るさは生まれない。『俳壇』2025年3月号。

  • 日永(ひなが)

    2月 16th, 2025

    春になり、昼の時間が永くなること。昼の時間が短い冬の「短日」に対応した言葉。日の短い冬を経てきて春になると、心理的に、昼間の永さを著しく感じる。春分を過ぎると夜よりも昼の時間が長くなるが、実際に昼間が最も永くなるのは6月の夏至の頃になる。

  • 桜蝦

    2月 16th, 2025

    サクラエビ科の小海老。東京湾口から相模湾・駿河湾までの太平洋岸の深海に生息する。透明で桜色をしていることからこの名がある。春、夜間に浅海に浮上するところを獲る。生食のほか、干海老にすることが多い。別名「ひかり蝦」。

  • 一鳥の水蹴つて立つ恵方かな 岩岡中正

    2月 15th, 2025

    歳徳神がいる方向を陰陽道で恵方といい、恵方詣はその年の恵方に当たる社寺に初詣すること。歳徳神の方角はその年の干支により陰陽道で決められる。恵方詣をすると一年分の福が授かるという。

    初詣に行く道すがらの情景だろう。鴨だろうか川鵜だろうか、一羽の鳥が水を蹴って飛び立った。「水蹴つて立つ」は、深々と湛えた水の量感やその揺らめきを感じさせる措辞。鳥が飛び立って波立った水の上にも青空にも、新春のめでたく厳かな気配が満ちている。『俳壇』2025年3月号。

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