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俳句の庭

  • 遺品もう年を加へず三月来 照井翠

    2月 24th, 2025

    三月になると、北国ではまだ雪に閉ざされることはあるが、春の気配が日増しに濃くなり、草木の芽吹きが活発になる。下旬には桜の花が咲きはじめる地域も多い。

    三月といえば雛祭、お彼岸といった行事とともに、卒業や転勤など生活に変化が生じることが多い時節。加えて、平成23年3月11日に発災した東日本大震災は、三月という季語の意味合いを一変させた。この句は、その大震災により一変し変質した三月を詠んだ作品。大震災後、その犠牲になった人の「遺品」は年を経ても、年を加えることがないという。被災地の人々の心に刻印された大震災の記憶に、読者を改めて立ち返らせる一句。『俳句四季』2025年3月号。

  • 河豚(ふぐ)

    2月 24th, 2025

    硬骨魚目フグ科の海魚の総称。秋から春にかけても獲れるが、美味なのは冬季。多くは肝臓と卵巣に猛毒を持つ。多くは食用で、てっちり(河豚ちり)、てっさ(河豚のさしみ)、河豚汁などとして食される。虎河豚、赤目河豚、箱河豚などその種類は多く、特に虎河豚は美味。

  • 春の鵙

    2月 24th, 2025

    春に営巣期を迎えた鵙のこと。秋の鋭い叫喚とは異なり、この時季の雄は縄張りを訪れる雌にやさしい鳴き声でささやくように求愛する。雲雀など他の小鳥の声を織り交ぜることもある。番になると、雌は、雄に子供のように甘えて餌を求める。なお、「鵙の高鳴き」としてよく知られている鋭い鳴き声は、秋から冬にかけて縄張りを主張するためのもので、単に「鵙」といえば秋の季語。

  • 凍蝶やてのひらほどの海ひかる 西山睦

    2月 23rd, 2025

    「凍蝶(いてちょう)」は寒さのため凍てついたようになる蝶のこと。窓辺などで見かけることもあるが、草木に潜んでいることもある。動きは鈍く、ほとんど静止したままだ。

    掲句は、眼前のあるかなきかの命を保つ凍蝶から遥か隔たったところに「てのひらほどの」海が輝いている景を詠む。海の光は着実に近づいてくる春を感じさせるものだが、凍蝶と海とは何ら関わりなくそれぞれ存在し続ける。間もなく凍蝶は死に、海はますます光を増してゆくだろう。遠近、明暗の対比により、冬深い頃の厳しい寒さと春を待つ思いが感じられる作品。『俳句四季』2025年3月号。

  • 白子(しらす)

    2月 23rd, 2025

    イワシ、イカナゴ、ウナギなどの稚魚で、太平洋沿岸で多く水揚げされる。白く透明だが、水揚げ後数時間で色が変わってしまう。生食するほか、茹でたり(釜揚げ白子)、天日に干したり(白子干)して食べる。「白子干」は春の季語になっている。なお、白子(しらこ)は主に魚類の精巣を食材とする際の呼び名で、白子(しらす)とは別物なので紛らわしい。

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