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俳句の庭

  • 南仏紀行(11)

    10月 10th, 2025

    7月中旬の一日、モンブラントンネルを通ってイタリアに足を延ばした。同トンネルはアルプスのモンブラン山群を貫き、フランスのシャモニーとイタリアのクールマイユールを結ぶ自動車専用トンネル(全長11.6km)。1965年の開通当時は道路トンネルとしては世界最長だったという。過去の火災事故の教訓もあってトンネル内の車の台数が制限されているため、トンネルの手前での停車時間が長かったが、いったん車が動き出すとスムーズに通過することができた。なお、現在の世界最長の道路トンネルはノルウェーのラルダールトンネル(全長24.5km)。

    トンネルを抜けるとそこは北イタリア。アルピニズムの聖地であり、針峰(しんぽう)とも呼ばれるシャープな稜線が連なっていたシャモニーに対して、そこは明るく伸びやかな農村風景が広がっていた。伊仏国境の最高峰モンブランのイタリアでの呼び名はモンテ・ビアンコ。イタリア語で「白い山」の意だが、モンブランよりもどこか伸びやかな響きがあるのは気のせいだろうか。

    放牛の背にさんさんと夏の日差しが降り注ぎ、首に下げたカウベルが澄んだ音を立てていた。注意して聞いていると、カウベルはそれぞれ違う音色を響かせている。関係者なら、その音を聞いただけで、どの牛か特定できるのかも知れない。私たちが草の上に座って昼餉のサンドウィッチや桃を食べていると、頭上の枝で駒鳥が澄んだ声で鳴いた。

    同じモンブラン山群を反対から眺めているだけなのに、イタリア側から眺める山々は雪が少なく、峻険さよりも、ゆったりと寛いでいる趣があった。道には、家族連れでハイキングを楽しむ人に混じって、自転車で子供を乗せた乳母車を引く男性の姿があった。シャモニーでは見られない光景だった。

    帰り際に、チーズの専門店に立ち寄った。わずか数時間だったが、イタリアの空気を少し吸うことができた。

  • ブッドレア

    10月 10th, 2025

    中国原産のゴマノハグサ科の落葉低木。明治中期に日本に渡来した。和名「房藤空木(ふさふじうつぎ)」。園芸品種を含め約100種類の仲間があり、日本に自生するのはフジウツギとウラジロフジウツギ。7月から10月にかけて、円錐形の花穂にたくさんの小花を咲かせる。花色は藤色、白、紫、ピンク、青など。なお、歳時記には掲載されていない。

  • 晒菜升麻(さらしなしょうま)

    10月 10th, 2025

    日本を含む東アジア等原産のキンポウゲ科の多年草。全国の山地の落葉樹林下や草地に自生する。晩夏から秋にかけて、白い小花を穂のように咲かせる(両性花又は雄花)。若芽を茹でて、水にさらして山菜として食したこと、また、根は「升麻(しょうま)」と呼ばれ、生薬として用いられたことからこの名がある。なお、歳時記には掲載されていない。

  • 父と世を違へて冬の床柱 柴田佐知子

    10月 9th, 2025

    「冬」は四季のひとつ。立冬(11月8日頃)から立春前日(2月3日頃)までの期間。陽暦ではおおむね12月・1月・2月を指す。『古今和歌集』の時代から、「冬」は枯れきった淋しさを本意として詠まれてきた。

    掲句は父亡き後の和室の床柱(とこばしら)に目をとめての作品。床柱は、和室にある床の間の脇に立てられる化粧柱のこと。しんと静まったその柱に目をとめたとき、改めて父の不在が意識された。死は人を生者とは別の世に連れ去ってしまう。「冬の床柱」が活きている。『俳句界』2025年10月号。

  • 小梨

    10月 9th, 2025

    バラ科の落葉小高木。別名「桷(ずみ)」。高原、湿原などに自生する。初夏に、梨の花に似た白い花をつけた後、秋に実が黄熟する。小さな実はリンゴのような香りがするが、酸味・渋みがあり生食には適さない。単に「小梨」といえば秋の季語。歳時記には「山梨」の傍題として掲載されていることが多い。

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