「黄金虫(こがねむし)」は甲虫目コガネムシ科の昆虫。黄金虫とも表記する。金緑色、青銅色などの金属光沢がある。夏の夜、灯火などへ飛び込んでくる。指で小突くと死んだふりをしてポトリと落ちる。
掲句は昼間野原で捕まえた仮死状態の金亀子を宙に抛り投げたときの作品。掌の上で死んだようになっていた金亀子が、投げ上げた途端、地面に落ちずに飛び去ったことに新鮮な驚きがあった。マツヨイグサの花びらを食べていた金亀子だった。平成21年作。『春霙』所収。
「黄金虫(こがねむし)」は甲虫目コガネムシ科の昆虫。黄金虫とも表記する。金緑色、青銅色などの金属光沢がある。夏の夜、灯火などへ飛び込んでくる。指で小突くと死んだふりをしてポトリと落ちる。
掲句は昼間野原で捕まえた仮死状態の金亀子を宙に抛り投げたときの作品。掌の上で死んだようになっていた金亀子が、投げ上げた途端、地面に落ちずに飛び去ったことに新鮮な驚きがあった。マツヨイグサの花びらを食べていた金亀子だった。平成21年作。『春霙』所収。
「雲雀(ひばり)」はスズメ目ヒバリ科の留鳥(北海道を除く。)で、日本各地に広く分布する。繁殖期には、野原や畑地などに皿型の巣を作る。雄は空高く舞い、甲高い声でさえずる。
掲句は、牧草地に営巣している雲雀を見かけて詠んだもの。雲雀がさえずりながら青空を上って行ったとき、手に握っているペン軸(ペン先を取り付けるための棒状の柄のこと)がきらりと光ったとの句意。フランス絵画の歴史の中に「外光派」と呼ばれた一群の画家たちがいるが、私も作句の契機を戸外で得ることが多い。戸外に出ていると、予め頭の中で考えていなかった詩の恩寵を受けられるような気がする。そんな時は、忘れないようにその場でノートに書き留める。平成7年作。『河岸段丘』所収。
「蜥蜴(とかげ)」はトカゲ亜目に属する爬虫類の総称。肌はぬれて光沢があり、青や緑の縞模様がある。春先、冬眠から覚めた蜥蜴が穴を出て動き出すことを「蜥蜴穴を出る」「蜥蜴出づ」などという。
掲句は吹き溜まった枯葉の中に、春先、蜥蜴を見かけての作品。冬の間姿を見せなかった蜥蜴が人の目に触れるようになるのも、春の到来を知らせるものの一つだ。まだまだ冷たい風が木や枯葉を鳴らしていた。視線に敏感な蜥蜴は、ちらっと姿を現しただけで、たちまち枯葉の底に潜り込んでしまった。令和7年作。
夜鷹はヨタカ科の夏鳥。北海道から四国の山地や草原に棲む。夜行性で、夏の夜キョッキョッという鳴き声をたてる。
掲句は、八ヶ岳東麓のとある高原に滞在中の作品。近くに村営牧場があり、牧柵の外は茨などの灌木がところどころに生える野の起伏が広がっていた。夜鷹の声を聞きたくて、日が暮れてからもそこに佇んでいると、近くに猟犬と住んでいる老人が、夜はクマが出るから危険だよと教えてくれた。今のようにクマの出没が話題になる前のことである。平成8年作。『河岸段丘』所収。
「椿」は万葉集以来歌に詠まれ親しまれてきた春を代表する花の一つ。つやつやした肉厚の葉の中に真紅の花を咲かせる。「落椿」という言葉があるように、花びらが散るのではなく、花一つ一つが丸ごと落ちる。最も一般的な藪椿のほか、八重咲や白椿、雪椿など多くの品種がある。
掲句は近くの公園での作品。ゆっくりと上ってきた太陽が木立を抜けて椿を照らし出す頃、ラジオ体操に来ていた人々も去り、公園は静寂を取り戻す。花の蜜を吸いに来た鵯やメジロの声の中にしばらく佇んで、椿を眺めた。どれもごく一般的な一重の紅椿である。時折かさっと乾いた音がして椿が地に落ちた。令和7年作。