「霰(あられ)」には、雪の結晶に細かな水滴がついて固まった雪あられと小さな氷の粒である氷あられがある。霰の粒は地面や草木にぱらぱらと音を立てて降り、はじけて転がる。
掲句は夜ふけの霰の音に耳を澄ませながら、平成30年2月に亡くなった金子兜太を偲んだ作品。兜太は亡くなるまで熊谷に住み、〈暗黒や関東平野に火事一つ 兜太〉などの句がある。同じ関東平野に住みながら、生前の兜太に見(まみ)える機会は終に無かった。令和3年作。
「霰(あられ)」には、雪の結晶に細かな水滴がついて固まった雪あられと小さな氷の粒である氷あられがある。霰の粒は地面や草木にぱらぱらと音を立てて降り、はじけて転がる。
掲句は夜ふけの霰の音に耳を澄ませながら、平成30年2月に亡くなった金子兜太を偲んだ作品。兜太は亡くなるまで熊谷に住み、〈暗黒や関東平野に火事一つ 兜太〉などの句がある。同じ関東平野に住みながら、生前の兜太に見(まみ)える機会は終に無かった。令和3年作。
「オリオン」は代表的な冬の星座。ギリシア神話の巨人狩人オリオンの名に由来する。赤色のベテルギウス、青白色のリゲル、二つの1等星を対角に大きな四辺形を形成する。また、オリオンの腰の帯を示す三つの星は誰にでも見つけることができる。
掲句はオリオンの四辺形の「盾(たて)」が吹き澄む夜空に冬の到来を感じてできた作品。関東平野を乾いた風が吹きわたると、夜空に沢山の星がまたたく。未明の頃、オリオンはやや西に傾いた位置にかかり、その南にはシリウスが青白い光を放つ。関東平野にもとうとう冬がやってきたのだ。ただし、この句の主季語は「冬に入る」。令和4年作。
「十二月」は一年最後の月。年内に済ませることが多く、何かと気忙しさを感じる月。他方では、過ぎ去ろうとしている一年をひとり振り返る月でもある。
掲句は、来る日も来る日も道の辺に立ち続けている木に人の気配を感じ、じっと佇んでいる人に木の気配を感じてできた作品。行きずりにふと感受したことをそのまま句にしたのだが、この上五中七のフレーズが活きるかどうかは、ひとえに季語の適否にかかっている。令和5年作。
風邪はくしゃみ、はなみず、のどの痛み、咳などの症状を伴う上気道の感染症。多くはウイルスが原因で、インフルエンザなどを除けば特効薬はないという。
掲句は風邪に罹ったなと思ったときの気分を、塩壺の重みに譬えた作品。台所には塩壺、砂糖壺のほか片栗粉、醤油、味醂、料理酒などの入った瓶や器があるが、その中でも微かに水分を含んだ塩壺の重みが、風邪の気分にもっともぴったりするように思えた。塩水でうがいするのも、どうやら風邪を引いたなと自覚したときだ。平成18年作。『春霙』所収。
蜘蛛の多くは糸を分泌して巣を作り、これにかかった昆虫を捕食する。本来は夏の季語だが、大きく肥えた女郎蜘蛛などが、人の頭上に巣を張っているのを見かけるのは秋の半ば頃から。冬になっても依然として空の一隅を占めている強者(つわもの)もある。
掲句は立冬を過ぎてもいよいよ意気盛んに巣に蟠踞している大蜘蛛を詠んだ作品。夜通し木枯らしが吹いた明け方、頭上に吹き残されたように静まっている大きな蜘蛛を見かけた。全く弱っている気配はなく、日差しを受けて漆びかりしていた。平成19年作。『春霙』所収。