十二月忿怒は五指のすみずみに

「十二月」は一年の最終月。新年を迎える準備など何かと済ませるべきことが多く、あわただしさを感じさせる。振り返って、この一年の出来事を改めて思い起こすことも多い。

掲句は飯能の古刹能仁寺での作品。山門を潜るとき、阿形・吽形の二体の仁王像は初冬の冷気の中でしんと静まり返っていた。阿形の像の発止と広げた掌の指の一本一本に、忿怒(ふんぬ)の気が通っているように思えた。明治維新の戦火がこの地まで及んだことが想像できないほどの静寂が、辺りを支配していた。平成12年作。『河岸段丘』所収。

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