「夜霧」は夜間に発生する霧のことで、「霧」(秋季)の傍題。空気中の水蒸気が冷やされることで小さな水滴となり、空中に浮かぶことによって起こる。晴れて風の弱い夜の放射冷却によって、地面付近の空気が冷やされることで発生する(放射霧)ほか、海や川、湖などの温かい水面から蒸発した水蒸気が、冷たい空気に触れて冷やされることで発生することもある。

「夜霧」は夜間に発生する霧のことで、「霧」(秋季)の傍題。空気中の水蒸気が冷やされることで小さな水滴となり、空中に浮かぶことによって起こる。晴れて風の弱い夜の放射冷却によって、地面付近の空気が冷やされることで発生する(放射霧)ほか、海や川、湖などの温かい水面から蒸発した水蒸気が、冷たい空気に触れて冷やされることで発生することもある。

冬近くなって鳴いている虫のこと。盛りの時期には「虫時雨(むししぐれ)」と言われるほど盛んに鳴いていたコオロギなども、晩秋になると鳴き声が日に日に弱々しくなり、数も少なくなっていく。

過ぎ去ろうとする秋のこと。「行く春」と同様、移ろい行く季節を、旅人になぞらえて「行く」と形容しているのだが、「行く春」と違って寂寥感が色濃く表れており、秋を惜しむ気持ちが表出されている。美しく過ごしやすい季節を惜しむ思いがある。

晩秋の頃周りの木々が紅葉したり、落葉したりしている中で、変わることなく美しい緑を保っている松のこと。秋色になり、枯色になっていく四囲の景色の中で、色を変えないでいる常緑樹の松を讃える意味合いがある。

「鹿」は偶蹄目シカ科の哺乳動物。草食性で反芻による消化を行う。牡と牝はほとんどの時期別々の群れで生活を営む。牡は枝分かれした角を持ち、秋の交尾期には、その角を打ち合って牝を奪い合う。
掲句は、振り向いて人間の動静を窺って立つ鹿を詠む。鹿にとってみれば、人は謎の動物だろう。その人が攻撃を加えてくるのか、ただ歩いて通り過ぎるだけなのか、餌をくれようとしているのかなど、鹿は人の心を読もうとする。その様を、鹿が「こころ読む目」をしていると詠んだ。野生動物の内面に一歩踏み込んだ把握と言える。『俳壇』2025年11月号。