「サングラス」は夏の強い太陽光線、特に紫外線から目を保護するためにかける色付きの眼鏡。ファッションやアクセサリーとして用いることも多い。
掲句は齢を重ねた感慨を、この世の端に「長居」したと詠む。「長居」は同じ場所に長くとどまることで、作者がこの世で生を享けてから生きてきた歳月を指す。「この世の端」は抽象的な措辞だが、そこがどのような場所なのかを問うことはあるまい。老境の作者の胸中を吹き抜ける涼しい風が思われる作品だ。『俳壇』2025年7月号。
「サングラス」は夏の強い太陽光線、特に紫外線から目を保護するためにかける色付きの眼鏡。ファッションやアクセサリーとして用いることも多い。
掲句は齢を重ねた感慨を、この世の端に「長居」したと詠む。「長居」は同じ場所に長くとどまることで、作者がこの世で生を享けてから生きてきた歳月を指す。「この世の端」は抽象的な措辞だが、そこがどのような場所なのかを問うことはあるまい。老境の作者の胸中を吹き抜ける涼しい風が思われる作品だ。『俳壇』2025年7月号。
「乗込鮒(のっこみぶな)」は春になって水温が上がり、産卵のため小川や水田に群れをなして勢いよく乗り込んでくる鮒のこと。
掲句は鮒の乗っ込みのさまを、水の照り返す光に焦点を当てて生き生きと詠む。自ずから、水蒸気でけぶったような春の田園風景が目に広がる。「散らかす」との上五がいい。通常は人の日常生活に関して使われるごくありふれた言葉だが、水の光の形容として用いられると、句の中で新鮮な響きをもつ。『俳壇』2025年7月号。
「代掻き(しろかき)」は鋤き起こした田に水を入れ、田の底を掻きならし、肥料を土中に混ぜること。田植えの前の作業の一つ。
掲句は「・・・のひかり」のリフレインにより、播磨灘に面した代掻きの田圃の大景を描き出した。播磨灘は淡路島、小豆島、四国、本州で区切られた瀬戸内海東部の海域。鯛などの好漁場という。播磨の国、播州といった旧国名のもつ歴史の厚みを感じさせる海域名である。何の説明も加えず、「・・・のひかり」と並置したところがいい。一読、その場に居合わせたような気分になる大柄な一句。『俳壇』2025年7月号。
「バナナ」は熱帯アジア、マレーシア原産のバショウ科の多年草、又はその果実のこと。熱帯地域産の果実の中で日本人にもっとも親しまれているものの一つ。
掲句は「依願退職」したときの心情を、柔らかく折れるバナナにより表現した作品。「依願退職」は周知のように従業員が会社に願い出て、双方の合意により退職すること。本当はクビになるところを、会社側の温情でこの形をとることもある。誰を傷つける訳でもなく双方円満に収まったのである。だが、安堵感の一方で、作者は、そうした微温的な世の中のあり方に物足りなさも感じている。バナナのやわらかな手応えも丁度そんな感じだ。『文藝春秋』2025年7月号。
「四月馬鹿」は西洋発の風習で、4月1日に限り軽い嘘をついても許されるとされる。その起源はさだかではない。
掲句は「四月馬鹿」の日、言霊(ことだま)と一日遊んだとの句意。言霊は言葉にこもる精霊、または霊力のこと。俳句や短歌を含め、詩を紡ぎ出そうとする人にとって、言葉に言霊をいかにして宿らせるかが唯一最大のポイントといっていい。言霊が宿らない言葉や作品は、失敗作として捨て去られ、忘れ去られる。上五中七を全て仮名書きしたところには、実利からほど遠い詩の世界、言葉の世界に深入りした作者の含羞も感じ取れる。『俳句』2025年6月号。