「孑孑(ぼうふら)」は蚊の幼虫。夏、水溜まりや溝などの淀んだ水に発生し、棒を振るような格好で浮いたり沈んだりする。一週間ほどで羽化し、成虫の蚊になる。
「孑孑」は、捨て忘れたバケツの水や植木鉢のたまり水など、日常身辺のどこにでも湧く鬱陶しい存在。作者は、それを「書かぬ日々書けぬ日々」に結び付けた。文筆に専念しようとしても、スランプが訪れることは誰にもあることである。そのスランプすら句の素材にしてしまうところに、作者の作家魂が窺える。作者の日常の手触りを思わせる一句。『俳句』2026年8月号。
「孑孑(ぼうふら)」は蚊の幼虫。夏、水溜まりや溝などの淀んだ水に発生し、棒を振るような格好で浮いたり沈んだりする。一週間ほどで羽化し、成虫の蚊になる。
「孑孑」は、捨て忘れたバケツの水や植木鉢のたまり水など、日常身辺のどこにでも湧く鬱陶しい存在。作者は、それを「書かぬ日々書けぬ日々」に結び付けた。文筆に専念しようとしても、スランプが訪れることは誰にもあることである。そのスランプすら句の素材にしてしまうところに、作者の作家魂が窺える。作者の日常の手触りを思わせる一句。『俳句』2026年8月号。
中国原産の落葉小高木。江戸時代中期に日本に伝来。別名「タマリクス」。春、薄紅色の小さな花を棒状にたくさん付ける。中国の唐の時代、楊貴妃が好んで庭に植えさせたという言い伝えがある。花期が春(5月頃)と秋(8〜9月頃)の年2回あるが、春の花の方が見応えがある。なお、歳時記には掲載されていない。

村見尽して夕晴れの木守柿 直人
「木守柿(きもりがき)」は柿の実の収穫を終えたあとに、来年の豊作祈願や野鳥のためにあえて枝の梢に一つだけ残した柿の実のこと。冬の落葉した木にぽつんと一つ残された柿の実は、穏やかな冬の到来を感じさせる鄙びた情景。
掲句は、夕日を浴びて美しく照り輝く「木守柿」が、村を見尽していると詠む。一種の擬人法だが、一つの木守柿の位置から全貌が見わたせる程の小さな村の在りようが彷彿する。「見尽して」いるのはその地に定住している作者自身でもある。昭和52年作。『朝の川』所収。
雪が消え、山肌が全貌を現わす夏の富士山のこと。冬の間に積もった雪が消え、青黒い荒々しい山肌がくっきりと見えるようになる。7月の山開きを迎えて登山客でにぎわう。
