孑孑が湧く書かぬ日々書けぬ日々 髙柳克弘

「孑孑(ぼうふら)」は蚊の幼虫。夏、水溜まりや溝などの淀んだ水に発生し、棒を振るような格好で浮いたり沈んだりする。一週間ほどで羽化し、成虫の蚊になる。

「孑孑」は、捨て忘れたバケツの水や植木鉢のたまり水など、日常身辺のどこにでも湧く鬱陶しい存在。作者は、それを「書かぬ日々書けぬ日々」に結び付けた。文筆に専念しようとしても、スランプが訪れることは誰にもあることである。そのスランプすら句の素材にしてしまうところに、作者の作家魂が窺える。作者の日常の手触りを思わせる一句。『俳句』2026年8月号。


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