廣瀬直人の俳句(59)

村見尽して夕晴れの木守柿 直人

「木守柿(きもりがき)」は柿の実の収穫を終えたあとに、来年の豊作祈願や野鳥のためにあえて枝の梢に一つだけ残した柿の実のこと。冬の落葉した木にぽつんと一つ残された柿の実は、穏やかな冬の到来を感じさせる鄙びた情景。

掲句は、夕日を浴びて美しく照り輝く「木守柿」が、村を見尽していると詠む。一種の擬人法だが、一つの木守柿の位置から全貌が見わたせる程の小さな村の在りようが彷彿する。「見尽して」いるのはその地に定住している作者自身でもある。昭和52年作。『朝の川』所収。

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