夏野といえば、猛々しく草が生い茂る広々とした野原と真っ青な空、湧き立つ雲の白さが思い浮かぶ。夏野はまた人里に通う大地であり、放牧や草刈りなど人々の生活に結びつく場でもある。
掲句は高麗の巾着田での作品。耕作地の隣に馬場があり、競走馬を退役したような栗毛や葦毛の老い馬が何頭か飼われていて、棒杭に縄で繋がれて草を食んでいた。馬場といっても客はほとんどおらず、私が佇むと不審そうに私の方を見ては、不機嫌に鼻を鳴らした。折から日照雨が辺りの草を鳴らして通り過ぎて行った。平成18年作。『春霙』所収。
夏野といえば、猛々しく草が生い茂る広々とした野原と真っ青な空、湧き立つ雲の白さが思い浮かぶ。夏野はまた人里に通う大地であり、放牧や草刈りなど人々の生活に結びつく場でもある。
掲句は高麗の巾着田での作品。耕作地の隣に馬場があり、競走馬を退役したような栗毛や葦毛の老い馬が何頭か飼われていて、棒杭に縄で繋がれて草を食んでいた。馬場といっても客はほとんどおらず、私が佇むと不審そうに私の方を見ては、不機嫌に鼻を鳴らした。折から日照雨が辺りの草を鳴らして通り過ぎて行った。平成18年作。『春霙』所収。
ドクダミ科ハンゲショウ属の多年草。低地の水辺や湿地に群生するほか、観賞用としても植えられる。先のとがった卵形の葉は 互生し、6、7月に白い小花からなる尾状の花穂をつける。花期の頃葉の半分が白くなるが、花が咲き終わる夏の盛りの頃になると、葉の白い部分は薄れて、全体が緑になる。半夏生ともいうが、時候の季語である七十二候の「半夏生」とときに紛らわしいこともある。

ツバキ科の落葉高木で、樹高10メートル以上。日本を含む東南アジア原産。6、7月に椿に似た白色五弁の花を開く。透明感のある白い花には清楚なイメージがある。朝に開花し、夕方には落花する一日花。沙羅の花とも呼ばれるが、釈迦がその木の下で入滅したという沙羅双樹は、全く別の熱帯樹。

「水温む」は、寒さが去って、川や湖沼の水が温かくなること。仲春の頃、風が和らぎ日差しが降り注いで、冬の間人の手を切るほど冷たかった水がいつしか温み、生き物の命を育む水となる。
掲句は、人工的に育成したアユなどの稚魚を放流している場面だろう。「昃(ひかげ)る」は、一時的に雲にさえぎられて、日が翳ること。春半ばの頃、季節は進んだり戻ったりで、麗らかな日差しが差すかとみれば、たちまち雲に翳ってしまう。放流された稚魚たちも、昃ったことに驚いて寄り添ったのだ。空合いの変化に機敏に反応する稚魚たちの動きが初々しい。本格的な春が到来する一歩手前の季節感だろう。『俳句』2023年6月号。
「天道虫」はテントウムシ科に属する小形の甲虫。枝などの先端まで登って行き、行き場がなくると太陽に向かって飛び立つ習性があることからこの名がある。成虫は半球形で、短い脚や触角をもつ。体の表面には光沢があり、色も星の数も種類によって様々だ。固い鞘翅の下に畳み込まれた翅を広げて飛ぶが、木の葉や枝を這いまわっていることが多い。

