その年の冬の初めての時雨(しぐれ)。時雨は、晩秋から初冬にかけて降ったり止んだりするにわか雨全般を指し、そのうち晩秋に降るにわか雨を秋時雨、初冬に降るにわか雨を、単に時雨と称する。「初時雨」には、ものが枯れ急ぐ季節が到来した侘しさに、新たな季節を迎えた心の華やぎが交差する。「初空」「初富士」「初鰤」など「初」の一字を冠した季語共通の弾むような明るさには、四季の移ろいの中に生きる日本人の心情が投影しているようだ。

その年の冬の初めての時雨(しぐれ)。時雨は、晩秋から初冬にかけて降ったり止んだりするにわか雨全般を指し、そのうち晩秋に降るにわか雨を秋時雨、初冬に降るにわか雨を、単に時雨と称する。「初時雨」には、ものが枯れ急ぐ季節が到来した侘しさに、新たな季節を迎えた心の華やぎが交差する。「初空」「初富士」「初鰤」など「初」の一字を冠した季語共通の弾むような明るさには、四季の移ろいの中に生きる日本人の心情が投影しているようだ。

「秋時雨(あきしぐれ)」は秋も終わりの頃に、降ってはすぐに止む小雨や通り雨のこと。冬が近づき、朝晩の気温が下がる時期の雨であり、侘しさや静けさを感じさせる。
掲句は妹夫妻の山荘に泊まった時の作品。富士の東麓に当たる山中湖畔は晩秋初冬の雲の通り道なのだろう。その夜も天窓を濡らして雨が通り過ぎた。夜が更けるにつれて戸外はしんしんと冷えてきたが、暖炉の火を傍らに、湯気の立つ手料理をいただき、心豊かな時を過ごした。令和6年作。
フランス原産の洋梨の一種。洋梨はヨーロッパ原産のバラ科ナシ属の樹木に実る果実の総称。日本には明治36年に導入されたが、一般に生食されるようになったのは1980年代以降。秋に収穫され、追熟させてから食する。なお、ラ・フランスは、現在、日本でしか栽培されていないという。「梨」(秋季)の傍題。

日本原産のヤマイモ科の蔓性多年草、特にその根茎のこと。別名「山の芋」。栽培される「長芋」に対して、「自然薯」は山野に自生するものを指す。食用になるのは、秋に葉腋に実る零余子(むかご)と根茎。根は地下深く潜っているので道具を使って掘り出される。すりおろすと粘りが強く、独特の香りがある。
下の写真は、朝晩の冷え込みで、黄葉(もみじ)が目に立つようになった自然薯。茶の木に絡みつきながら伸びている。根は美味とされるが、実際に掘り出したことはない。

「迎盆(むかえぼん)」は旧暦7月13日の夕、迎え火や盆提灯で先祖を迎えること。地域によっては陽暦で行うところも多い。「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の傍題。
掲句は、お盆の13日に菩提寺に立ち寄った後、墓まで父母を迎えに行った時の作品。その日は朝から生憎の雨だったが、本降りと言うほどではなく、午後もしとしとと降り続いていた。白木の卒塔婆を担いで雨の中を歩いた。道すがら白さるすべりが折からの雨を含んで咲きこぼれていた。父母を迎えるしんとした思いに、さるすべりの白い印象が重なった。令和7年作。