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俳句の庭

  • 芭蕉の推敲(4)

    9月 26th, 2023

    夕顔に米搗き休むあはれかな 芭蕉                                 天和年間の作。高山麋塒(たかやまびじ。江戸出府の折芭蕉の門人となった甲斐谷村藩の国家老)旧蔵の真蹟短冊中の一句。「夕顔卑賎」との前書きのある真蹟懐紙もあるという。夕顔は、『源氏物語』夕顔の巻以来、貧家に咲く花として詩歌に詠まれてきた伝統があり、句は、その伝統的情趣に沿って、夕顔と米搗きを生業とする労働者を取り合わせた。句は頭の中で組み立てた感があるが、芭蕉が江戸市中で見かけた米搗きの現場がベースになっていることも確かだろう。

    昼顔に米搗き涼むあはれなり 芭蕉                  貞享4年に上梓された『続の原』にはこの形に推敲された。露伴は、「朝顔」や「夕顔」と比べて、「昼顔や」が「いかにも米搗きの風情が出ている」と評したが、そのとおりだろう。日盛りの中に小さく花をつけている「昼顔」と、吹き出る汗を拭きながらもの陰で一休みしている米搗きの姿が、自ずから目に浮かんでくる。「夕顔=貧家に咲く花」との伝統的発想から離れて、新しい昼顔の情趣を発見したところにこの句の意義がある。

  • 竹の春書斎灯せば故人見ゆ

    9月 26th, 2023

    竹の春は、筍の生える春から初夏にかけて勢いが衰えた竹が、秋になると元気を取り戻し、緑鮮やかな色合いを呈すること。

    掲句は、林芙美子(1903-1951)が晩年の10年間を過ごした林芙美子記念館(新宿区中井)を訪れたときの作品。庭を巡った後、生前のままの雰囲気を保っている書斎に足を踏み入れたとき、ふと、芙美子その人がそこに座って執筆を続けているような錯覚を覚えたのだった。平成21年作。『春霙』所収。

  • コルチカム

    9月 26th, 2023

    イヌサフラン科の多年草。和名イヌサフラン。欧州、中東、北アフリカの地中海沿岸地域に自生し、いくつもの園芸品種がある。ほとんどが秋咲きで、ピンクや藤色の花を咲かせる。よく似た花を咲かせるクロッカスやサフランは、アヤメ科で全く別種。なお、歳時記には載っていない。

  • 菊芋(きくいも)

    9月 26th, 2023

    北米原産のキク科の多年草。日本には江戸時代末期に飼料用作物として伝来し、帰化植物となって日本全国の空き地や荒れ地で野生化した。秋に咲く黄色の花がキクの花に似て、地下に紡錘形の塊茎を作るのでこの名がある。塊茎は食用。北米インディアンは昔から食料として食べてきたという。

  • 星が飛ぶ人に没後といふ時間 ふけとしこ

    9月 25th, 2023

    「星飛ぶ」は「流れ星」の傍題。宇宙の塵が地球の大気圏に飛び込んで、大気との摩擦で発光するという。秋の夜長に空を見上げていて見掛けることが多い。悠久の宇宙の営みの中での一瞬の出来事だ。

    流星を見上げていて、人の生死を思うのは自然な心の動きだ。人には生前と没後という2つの時間が用意されている。生前の時間は忽ちのうちに過ぎ去るが、没後という時間はいつまでも続く。掲句の「人」は、特定の人を想定しなくてもいいだろう。人という生き物の生死を思いながら秋の夜空を仰いでいるのだ。『俳句四季』2023年10月号。

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