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俳句の庭

  • 蕗の薹

    3月 14th, 2024

    「蕗(ふき)」は日本原産のキク科の多年草で、山野に自生する。「蕗の薹」は蕗の花の蕾のこと。早春の頃、地下茎から苞に包まれた花芽が地表に顔を出す。花の開かないうちに摘み、天ぷらや蕗味噌などにして食する。春を代表する山菜の一つ。花が咲いた後、地下茎から葉が出てくる。

  • 春陰や押して重たき画廊の扉

    3月 13th, 2024

    「春陰」は曇りがちな春の天候のこと。花曇とほぼ同じ意味だが、花時に限られない。

    掲句は銀座の画廊を巡ったときの、重たいドアの押し心地を句にしたもの。「花疲れ」という季語があるが、その時も、春の物憂い感じが私の心身を支配していた。別にこれという目当てがあって画廊を巡った訳ではなかったからだ。人体の形をしたドアノブの冷たい感触、画廊に入ったときに見知らぬ人から受けた視線、画廊内の時が停止したような静けさなど、その時のことが今でもよみがえる。平成22年作。

  • 辛夷(こぶし)

    3月 13th, 2024

    日本原産のモクレン科の落葉高木。蕾が拳に似ているので、その名がつけられたといわれる。全国の山地に自生するほか、観賞用として庭園などに植えられる。仲春の頃、葉に先立って、木蓮より小振りの白色の六弁花を開く。ヤマアララギ、コブシハジカミ、タウチザクラなどの別名がある。

  • いぬふぐり

    3月 13th, 2024

    ヨーロッパ原産のゴマノハグサ科の越年草。正式名はオオイヌノフグリで、明治の初期に渡来した。早春の道の辺や田畠の畦、草原などに生え、空色の可憐な小花を咲かせる。犬の陰嚢に似た実をつけることから、この名がある。なお、日本の自生種であるイヌノフグリは淡紅色の花を咲かせるが、近年は余り見られない(絶滅危惧種)。

  • 蕗味噌にうすむらさきの苦みあり

    3月 12th, 2024

    「蕗味噌(ふきみそ)」は蕗の薹を刻んですりつぶし、味噌、砂糖などを加えて混ぜ、火にかけて練ったもの。ほろ苦い風味が春の食卓に色どりを添える。

    掲句は「蕗味噌」の苦みを「うすむらさき」と色彩により表そうとした作品。蕗味噌に限らず、目刺しやゴーヤなど、苦みを味わう食材は四季を通じてあるが、特に春先に摘む山菜の苦みは、春の到来を実感させてくれる。味覚が発達して苦みを滋味として味わえるようになるのは、齢を加える愉しみの一つではないだろうか。令和5年作。

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