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俳句の庭

  • ルピナスや群羊数へては忘れ

    6月 1st, 2024

    「ルピナス」はマメ科ハウチワマメ属の総称で、北米、南米などが原産。自生地は世界各地に広がり、観賞用に栽培される。

    掲句はニュージーランド旅中の作品。南島のトワイゼルからアロータウンに移動するレンタカーの車中から、山の斜面に放牧されている数限りない羊を眺めた。あいにく風邪気味で旅疲れもあり、少し眠気を感じながら、車窓の風景を眺めていた記憶がある。「数へては忘れ」の措辞には、そのときの体調が影響しているのかも知れない。

  • 手がありて鉄棒つかむ原爆忌 奥坂まや

    6月 1st, 2024

    アメリカは、第二次世界大戦末期の昭和20年8月6日に広島市に、続いて9日に長崎市に原子爆弾を投下した。現在も多くの被爆者が放射能の後遺症に悩まされている。

    掲句は作者の「自選30句」の中の一句であり、新作ではないが、今読んでも新鮮な感銘を覚える作品だ。切り取ったのは、公園の遊具などでのごくありふれた場面に過ぎないが、人間の身体の他の部分を省略して、「手」にズームアップしたところがこの句のポイント。その不気味さは、否応なく原子爆弾という殺戮兵器のもつ非情さ、不気味さにつながる。『俳句界』2024年6月号。

  • 苺の花

    6月 1st, 2024

    バラ科の常緑多年草。山野に自生する草苺や蛇苺、ワイルドストロベリー、食用種のオランダ苺など多くの種類があるが、苺の花といえばオランダ苺の花を指すことが多い。オランダ苺は、北米原産のバージニアイチゴと南米原産のチリイチゴがオランダで交配されて生み出された品種で、江戸時代にオランダから日本に伝えられた。晩春の頃、葉の間から花茎が伸びて白色五弁の花を咲かせる。花の後、花托が発達して果実の苺となる。

  • 赤貝

    6月 1st, 2024

    フネガイ科の二枚貝。北海道南部から九州の広い範囲に分布し、内湾の浅い泥底などに棲息する。殻に放射状の溝がある。酢の物や鮨種として食される。

  • 去来・凡兆編『猿蓑』を読む(3)

    5月 31st, 2024

    現代俳句においても、作例は少ないが、師弟、連衆間或いは古人との間の詩心の交響が表れている作がある。

    夏雲群るるこの峡中に死ぬるかな    蛇笏

    夏に入る白雲あふぎ師に近づく        蒼石

      第二句は、墓参の情景であろう。蛇笏の高弟であった作者には、そそり立っている盛夏の雲が、師の存在そのものに見えたのだ。

    古茶の木ちるさかりとてあらざりき   蛇笏

    古茶の木咲いてこの世を見てゐたり   龍太

     両句において、蛇笏、龍太が「古茶ノ木」から受け止めた印象には共通するものがあるだろう。いずれの作においても、その密やかな在りようが詠まれているのだが、蛇笏作が的確な写実によって対象の真に迫ろうとしているのに対し、龍太作は、蛇笏作を念頭に置きながら、大胆な擬人化によりその印象を定着しようとした。 

      また、

    蜩といふ名の裏山をつねに持つ     流火草堂

    ひぐらしを聴かである日は阿修羅かな 楸邨

    は連衆の間の、また、

    下々も下々下々の下国の涼しさよ     一茶

    下下の下の鼻のしぐるる一里塚      楸邨

    は古人の作品との間の詩心の交響を示す作例である。

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