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俳句の庭

  • 托卵の声谺して青信濃

    9月 5th, 2024

    緑の木々に覆われた夏の山を「青嶺(あおね)」といい、夏の岬を「青岬」といい、百草の生い茂った野原を「青野」などという。

    掲句は長野の野辺山高原での作品。滞在中明け暮れ聞こえていたのは、遠く近く鳴くホトトギスやカッコウの声だった。いずれも托卵(たくらん)の習性をもつ鳥だ。托卵は、自分では巣を作らず、他の鳥の巣に卵を産みつけて、その鳥に抱卵・育雛させること。ホトトギスやカッコウの声が変幻自在に所を変えるのは、その習性のためかも知れない。折から高原は緑滴るばかりの初夏の装いだった。令和6年作。

  • 梨

    9月 5th, 2024

    梨はバラ科の落葉高木。その果実は秋の代表的な果物の一つで、果汁に富む。日本の山野に原生していた山梨から品種改良され、古くから栽培されてきた。斑点のある黄褐色の果皮をもつ赤梨と緑色の果皮の青梨があり、それぞれ多くの品種がある。近年は、従来の長十郎、二十世紀に加え、甘味の強い幸水、豊水、新高などが栽培の主流となっている。最近では洋梨も普及してきた。

  • 真葛原(まくずはら)

    9月 5th, 2024

    葛(くず)が一面に生えている原のこと。葛は山野に生えるマメ科の蔓性多年草で、初秋から仲秋にかけて旺盛に繁茂し、他の草木に絡みながら野を覆い尽くす。葛という植物を単独に対象にするのではなく、葛の繁茂する野を面として大きく把握しようとするときに用いられる言葉。

  • 百年の後へひと鍬秋高し 伊藤黎

    9月 4th, 2024

    「秋高し」は、秋になると大気が澄み、晴れわたった空が高く感じられること。好適な季節の到来を感じさせる季語。

    掲句は、鍬を振るって田畑を掘り起こしているところだろう。〈百年後の見知らぬ男わが田打つ 美規〉という作品があるが、この句でも百年の後を思いつつ農事(秋耕)に励んでいるのだ。たった今自分が振り下ろした「ひと鍬」も、百年後の豊かな稔りの一助になればとの思いがある。また、俳句に心を寄せる一人として、百年後の文芸の分野に「ひと鍬」を加えたいとの表現者としての志も見え隠れするようだ。『俳句界』2024年9月号。

  • 鰯(いわし)

    9月 4th, 2024

    ニシン目イワシ類に属する海水魚。マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種類があるが、カタクチイワシは目刺し(春季)に、ウルメイワシは丸干しにして食されることが多く、鮮魚として店頭でよく見かけるのはマイワシ。沿岸に生息する回遊魚で春に北上し秋に南下する。通年水揚げされているが、とりわけ秋が旬で鱠や塩焼で食す。飼料や肥料にもなる。

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