微細な水滴や塵や埃などが空中を浮遊して、空や遠景がぼんやりと見える現象。万物の姿がほのぼのと薄れて春の景色となる。気象用語では「霧」(視程距離が1キロ以下のもの)又は「靄」といい、「霞」の語は用いられないが、詩歌では昔から春の情景として詠まれてきている。夜は同じ現象を「朧」という。横に筋を引いたように棚引くものが「棚霞」。「草霞む」「山霞む」「鐘霞む」などとも用いられる。いずれも春季。

微細な水滴や塵や埃などが空中を浮遊して、空や遠景がぼんやりと見える現象。万物の姿がほのぼのと薄れて春の景色となる。気象用語では「霧」(視程距離が1キロ以下のもの)又は「靄」といい、「霞」の語は用いられないが、詩歌では昔から春の情景として詠まれてきている。夜は同じ現象を「朧」という。横に筋を引いたように棚引くものが「棚霞」。「草霞む」「山霞む」「鐘霞む」などとも用いられる。いずれも春季。

寒梅は寒中に咲く梅全般をいう。寒紅梅は12月頃から咲き始める紅色または淡紅色の梅で、多くは八重咲き。
掲句は眼前の寒紅梅の濃い紅から、「遺志」ということに思いを馳せた作品。その時心の中にあったのは前年に亡くなった飯田龍太のことだが、この句は特定の誰かに限定する必要のない句だと思っている。この世に生きる誰もが、志の一部を果たせないまま亡くなっていく。その思いは言葉にならなくても、伝わる人には無言のままでも伝わるのだと思う。平成20年作。『春霙』所収。
2月11日。戦前の「紀元節」は明治5年に制定され、昭和23年に廃止されたが、昭和41年「建国記念の日」として復活し、国民の祝日の一つに加えられた。神武天皇が橿原の宮で即位したとされる神武紀元元年正月1日を陽暦に換算した日。梅の花が咲き始める頃なので、かつては梅花節・梅佳節とも呼ばれた。

「東風(こち)」は、春になって西高東低の気圧配置が崩れて、太平洋から大陸の方へと吹く風。ひと口に「東風」といっても、春特有の強風であることもあれば、柔らかい感触の風が吹くこともある。
掲句の実景は樹齢何年とも知れない梅の老木だが、梅に限ることもないだろう。苔むしたごつごつの老木の幹から、緑色の瑞枝(みずえ:瑞々しい若枝)が伸びているのだ。年老いた木に潜んでいる生命力に驚かされた。折から、湿り気を含んだ「東風」が荒々しく木々を吹き抜けていた。いよいよ芽吹きの季節が到来する。令和2年作。