コンテンツへスキップ
    • HOME
      • POST
      • PROFILE

俳句の庭

  • 南仏紀行(8)

    9月 18th, 2025

    シャモニー滞在中の一日、モンブラントラムウェイに乗車して、シャモニー渓谷の南方のモンブラン山群の中腹まで登った。モンブラントラムウェイは、フランスで最も標高の高い登山鉄道の一つで、シャモニー渓谷から山群の中腹まで登ることができる。終点のニ・デーグル駅はモンブラン登頂ルートの出発点。二両連結だが、駅員の誘導で、本格派のアルピニストたちと私たち観光客は、別々の車両に乗ることになった。

    降りたのは終点から一つ手前のモンラシャ駅で、標高2117メートル。そこから一つ手前の駅ベルビューまで歩いた。かつては氷河におおわれていた山膚は、氷河に削られた岩々を荒々しく現わしていた。

    トレッキングコースは、ときにはアマツバメの飛び回る中を、ときにはお花畑の中を辿って行った。竜胆やエーデルワイスなど沢山の高山植物を目にする中で、特に印象に残ったのは柳蘭(やなぎらん)。アカバナ科の多年草で、日当たりの良い山膚に群生する高山植物の一つ。直立した茎に葉が互生し、上部に花穂が出て濃いピンク色の花を咲かせる。日本の高原地帯で見かける柳蘭に比べてやや小ぶりだが、群がり咲くさまは見応えがあった。針峰(しんぽう)と呼ばれる鋭い山容と直立して咲きのぼる柳蘭の姿にはどこか似たところがあって、それらが相俟って、アルプスの景観を作り出していた。

    ちなみに、針峰は氷河の侵食によってできた針状の鋭い岩峰のこと。そのような山々は、エギュイーユ・デュ・ドリュ、エギュイーユ・デュ・ミディなどエギュイーユ(針、aiguille)の語を冠して名づけられていることが多い。花崗(かこう)岩などの垂直に近い節理をもった岩塊に見られるという。

    モンラシャからベルビューまでのコースの標高差は300メートルほど、距離は5キロメートルほどだったが、標高の高い辺りでは蕾がちだった柳蘭が、標高が低くなるにつれて花盛りになっていった。

    フランスギクの群落も見かけた。キンポウゲに、放牧の牛が鳴らすカウベルが澄んだ音を立てた。太陽に照りつけられたがれ場を、蝶が横切っていった。

    上の写真はベルビューの山小屋風の小さな駅舎。ここから私たちはモンブラントラムウェイに乗車して帰途に就いた。富士登山になぞらえて言えば、モンブランの五合目あたりでハイキングを楽しんでそのまま下山したようなものだろう。

  • 白藜(しろざ)

    9月 18th, 2025

    ユーラシア大陸原産のアカザ科の一年草。日本には古く渡来したとされる。林縁、荒地などに自生する。若葉や葉裏は白い粉粒に覆われる。開花時期は秋で、黄緑色をした粒状の花を穂状につける。インド北部やバングラデシュでは日常的な野菜として食される。中国原産の「藜(あかざ)」(夏季)の近縁種。

  • 白妙菊(しろたえぎく)

    9月 18th, 2025

    地中海沿岸原産のキク科の耐寒性多年草。葉には白い繊毛が密生しているため、銀白色のシルバーリーフに見えるのが特徴。花よりも葉の美しさが鑑賞されることが多い。初夏に黄色の小さな花を咲かせる。「セネシオ・シネラリア」と呼ばれることもある。一部の歳時記には「シネラリア」(春季)の傍題として載っている。

  • 独りとは蟋蟀を聞く夜のこと 吉本安良

    9月 17th, 2025

    「蟋蟀(こおろぎ)」はコオロギ科の昆虫の総称で、エンマコオロギ、オカメコオロギ、ミツカドコオロギなど種類が多い。庭の植え込みや家の片隅など身近なところで鳴く。エンマコオロギはコロコロ、ミツカドコオロギはキチキチキチ、ツヅレサセコオロギはリリリリと鳴く。

    掲句は「蟋蟀」の声の淋しさが、独り心に沁み透ってくる作品。「独りとは」の上五に、自らに言い聞かせるようなひびきがある。言葉に何の粉飾もない句だが、作者の思いが読者にそのまま伝わってくるところがいい。『俳壇』2025年10月号。

  • 竜淵に潜む

    9月 17th, 2025

    中国後漢時代の最古の漢字字典『説文解字(せつもんかいじ)』に「竜は春分にして天に昇り、秋分にして淵に潜む」とあることに由来する想像上の季語。春分の頃の「竜天に昇る」に対応する。秋分の頃の深い蒼色を湛えた淵を見ていると、実際に竜が潜んでいそうな気がする。

←前ページ
1 … 108 109 110 111 112 … 609
次ページ→

WordPress.com Blog.

 

コメントを読み込み中…
 

    • 登録 開始日
      • 俳句の庭
      • WordPress.com のアカウントをすでにお持ちですか ? 今すぐログイン
      • 俳句の庭
      • 登録 開始日
      • 登録
      • ログイン
      • このコンテンツを報告
      • サイトを Reader で表示
      • 購読管理
      • このバーを折りたたむ