春北風(はるならい)は、春になってから吹く冷たい北西風のこと。立春以降も一時的に西高東低の冬型の気圧配置に逆戻りし、北西風が吹き荒れることがある。季節の戻りを感じさせる風だ。
掲句は元荒川の川べりを散策したときの作品。元荒川は元々は荒川の本流で、今は利根川水系に属している。その辺りは、俳人加藤楸邨が、かつて粕壁(現埼玉県春日部市)の教師時代に歩き回ったところでもあり、楸邨の事跡を求める意味合いもあった。川岸に係船杭などはなく、幹にボートをつないでいる纜(ともづな)が、折りからの強風に軋んでいた。平成25年作。