「筒鳥(つつどり)」はカッコウ科の鳥類で、日本には夏鳥として渡来する。低い声でポポ、ポポと繰り返し鳴くが、声はくぐもって聞き取りにくく、深山の趣がある。郭公などと同様、托卵の習性がある。
掲句は近くの雑木林で聞きとめた「筒鳥」を詠んだもの。初めに声を聞いたときは、半信半疑だった。「筒鳥」といえば、それまで深山幽谷でなければ声を聞くことができないイメージを持っていたからだ。耳を澄ましていると、その微かな声が山の心音のように思われてきた。令和7年作。
「筒鳥(つつどり)」はカッコウ科の鳥類で、日本には夏鳥として渡来する。低い声でポポ、ポポと繰り返し鳴くが、声はくぐもって聞き取りにくく、深山の趣がある。郭公などと同様、托卵の習性がある。
掲句は近くの雑木林で聞きとめた「筒鳥」を詠んだもの。初めに声を聞いたときは、半信半疑だった。「筒鳥」といえば、それまで深山幽谷でなければ声を聞くことができないイメージを持っていたからだ。耳を澄ましていると、その微かな声が山の心音のように思われてきた。令和7年作。
「黄金虫(こがねむし)」は甲虫目コガネムシ科の昆虫。黄金虫とも表記する。金緑色、青銅色などの金属光沢がある。夏の夜、灯火などへ飛び込んでくる。指で小突くと死んだふりをしてポトリと落ちる。
掲句は昼間野原で捕まえた仮死状態の金亀子を宙に抛り投げたときの作品。掌の上で死んだようになっていた金亀子が、投げ上げた途端、地面に落ちずに飛び去ったことに新鮮な驚きがあった。マツヨイグサの花びらを食べていた金亀子だった。平成21年作。『春霙』所収。
夜鷹はヨタカ科の夏鳥。北海道から四国の山地や草原に棲む。夜行性で、夏の夜キョッキョッという鳴き声をたてる。
掲句は、八ヶ岳東麓のとある高原に滞在中の作品。近くに村営牧場があり、牧柵の外は茨などの灌木がところどころに生える野の起伏が広がっていた。夜鷹の声を聞きたくて、日が暮れてからもそこに佇んでいると、近くに猟犬と住んでいる老人が、夜はクマが出るから危険だよと教えてくれた。今のようにクマの出没が話題になる前のことである。平成8年作。『河岸段丘』所収。
盛夏の頃、北太平洋高気圧から吹き出す風が高温と湿気をもたらし、日本列島はたびたび耐え難い暑さに見舞われる。盆地や内陸部の暑さはひとしおだ。
掲句は、山梨一宮の広瀬直人主宰宅を訪問したときのことが契機になった一句。折からの好天の下、先生の自宅の周辺を散策した。歓談の中で、葡萄畑の彼方の暑にけぶる山裾を指さしながら、〈あそこが扇状地だよ。〉と教えてくれたことが、今でも思い起こされる。甲府盆地の夏の暑さは手強いが、果樹農家にとっては秋の実りを約束してくれる暑さでもある。平成25年作。
「葭切(よしきり)」はスズメ目ヒタキ科の夏鳥。初夏の頃南方から飛来して全国の水辺の葦原で営巣する。水辺の葦に止まって「ぎょっぎょっ」と大きな声で鳴くので「行々子(ぎょうぎょうし)」との別名もある。
掲句は越谷の元荒川周辺を訪れたときの作品。越谷は、加藤楸邨の俳人としての出発点となった地で、古利根や元荒川など水辺の多い土地柄でもある。度々流域を替えた荒川の蛇行の跡が、池になって残っていたりする。夏の烈日を遮るもののない水辺の葦原で、葭切が頻りに鳴いていた。坂東の暴れ川の名残がそこにあった。平成18年作。『春霙』所収。