「大試験」は、学校の卒業や進級に際しての試験のことで春の季語。学期末ごとに行われる小試験に対して、かつてはこのように言われたが、今では日常用語としては余り用いられない。「学年試験」「進級試験」「卒業試験」などともいう。
掲句は「大試験」の緊張感を、試験会場の数百人の学生が一斉に問題用紙を捲る音により具象化した作品。「音のさざなみ」との措辞が卓抜だ。こういわれると、かつて誰もが若き日に経験した試験会場での緊張や期待や不安がよみがえるのではないだろうか。『俳句四季』2025年4月号。
「大試験」は、学校の卒業や進級に際しての試験のことで春の季語。学期末ごとに行われる小試験に対して、かつてはこのように言われたが、今では日常用語としては余り用いられない。「学年試験」「進級試験」「卒業試験」などともいう。
掲句は「大試験」の緊張感を、試験会場の数百人の学生が一斉に問題用紙を捲る音により具象化した作品。「音のさざなみ」との措辞が卓抜だ。こういわれると、かつて誰もが若き日に経験した試験会場での緊張や期待や不安がよみがえるのではないだろうか。『俳句四季』2025年4月号。
「連凧(れんだこ)」は複数の凧を糸でつなげて揚げるもので、俳句では「凧」の傍題。凧は細い竹を骨として紙をはり、糸をつけて風力によって空高く揚げる子供の玩具だが、「連凧」といえば、子供の遊びというより、地域の行事や部落間の競技として行われる大掛かりなものを思い浮かべる。
掲句は楢の枝に「連凧」が千切れて引っ掛かり、風に吹かれている情景を詠んだ作品。凧が揚がっている間の賑わいや華やぎよりも、人々が去り、千切れて枝に掛かっている「連凧」に焦点を当てたところに、作者の目の確かさがある。写実に徹した句柄だが、一読、空に「連凧」が揚がったときの贅沢なひと時がよみがえる。『俳壇』2025年4月号。
「初雲雀(はつひばり)」は春になって初めて見る雲雀のこと。雲雀は麦畑や草原などに巣を作る小鳥。繁殖期のオスは縄張りを宣言するため 、盛んに囀りながら空高く舞い上がる。
掲句は、空で揚雲雀が頻りに鳴いている草原をやわらかな風が吹いている情景を詠んだ作品。「ひらがなのやうな風」は、春闌けた頃の心地よい微風を想像させる。その緩やかな風に少しずつ流されながら、雲雀はひもすがら中天で鳴き続ける。「ひらがな」という仮名書きの効果が十分に活かされている。『俳壇』2025年4月号。
「春寒」は春が立ってからの寒さ。余寒(よかん)とほぼ同義だが、余寒よりも春への思いに重点がある言葉。
掲句は地層の縞目に露出している「貝の殻」に春寒の季感を感じ取っての作品。地層を前にして、その地の経てきた長い歳月や、当時そこは海原で貝が生息していたことなどに思いが及ぶ。気の遠くなるような時の流れと、生き物の痕跡を前に、作者は自らの半生を振り返っているのかも知れない。写実に徹して、大きな時空を感じさせる作品だ。『俳壇』2025年4月号。
「みもざ」はマメ科アカシア属のフサアカシアのこと。オーストラリア原産で、公園や庭などに植えられる。春、黄色の花を総状に泡立つように咲かせる。
掲句は柩(ひつぎ)に入れるため、「みもざ」の花を抱えたとの句意。故人との別れを惜しむために柩に花を入れる習わしは洋の東西や宗教・宗派を問わずあるようだ。花は菊や百合、カーネーションなどが多い。「みもざ」といえばその明るさや華やぎが、最も死から遠いイメージがある花だが、それだけにこの花を選んだ作者の思いが伝わってくる。また、春の最中に逝った故人の人となりにも思いが及ぶ。『俳壇』2025年4月号。